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コールセンターの"コール以外"戦略最前線(1) トランスコスモス ソーシャル対応本格化

2012年 7月19日 12:16

8men.JPG 通販には欠かせないコールセンター。従来、受注業務に代表されるインバウンドや販促を行うアウトバウンドなどのコール業務がメーンだったが、近年は市場の鈍化により、大手を中心に"コール以外"の業務を強化する動きが出始めている。ソーシャルメディア活用やバックオフィス業務など、コールセンターを運営する強みを活かし、各社が新たな柱を模索。通販をはじめ、さまざまなクライアントのニーズに対応できる体制を整えている。最先端のコールセンターの姿を、今回から数回にわたって見ていく。

 「ソーシャルメディアの正しい使い方を示したい」。

 トランスコスモスが現在、力を入れているのが「ソーシャルメディア」の活用だ。3月14日、本社内にソーシャルメディア運用に特化した拠点を開設。専用のスタッフを置き、ソーシャルメディア運用全般を手がけている。立ち上がりは「ニーズは多い」(ソーシャルメディアサービス部・所年雄部長代理)と上々。コールからウェブ制作、プロモーションまで幅広く対応できる強みで訴求し、まずは今年度中に10億円以上の売り上げを目指している。

 同社ではもともとソーシャルメディア業務も手がけていたが、「引き合いが多く専門部隊がないと苦しくなった」(同)ため、スムーズな情報共有や効率化向上を狙って拠点を開設。専用のスタッフ「ファシリテーター」を置き、コミュニケーション設計から投稿代行、監視、分析、FAQの作成など、「サポート」と「エンゲージメント」の2系統での対応を本格化した。

 「ファシリテーター」は現在10人体制。コールセンター業務に携わっていたスタッフと、元・マーケティング業務従事者で構成される。担当はそれぞれ異なり、例えば、コールセンター出身のスタッフは「サポート」が専門で、ユーザーとのソーシャルメディア上でのやり取りや監視を担当。一方、マーケティング出身スタッフは新商品紹介やイベント告知、キャンペーンなどの「エンゲージメント」が中心。スタッフは、前者は文章の理解力を、後者はプランニング能力などを重視して採用しているという。

 サービスの具体的な流れは、フェイスブックの場合は、まず「何に使うか」をクライアントと話し合い、目的を設定する。その後、目的に見合った体制やページ作りを実施。それから実際の運用やキャンペーンの企画出しなどを行う。投稿内容は、まず年間のイベントカレンダーを作成し、月に一度行われるクライアントとの編集会議で20~30件分を決定するのがひとつの形だ。ツイッターの場合はスタッフが張り付きで監視し、ユーザー投稿に迅速に反応していく。

 対応メディアは現状ではフェイスブックとツイッターが中心。ただ、最近はユーチューブなどの動画系も増えているという。運用中のメディアは15件で、通販企業のキャンペーンなど一時的なものも含めると、3カ月で約30の案件があった。

 今後はプロモーションの企画から集客の広告までをパッケージで提供する計画も進める。将来的にはオリジナルのソーシャルメディアの使い方を創出し、「本場のアメリカに逆にノウハウを輸出したい」(同)構想を描いている。(つづく)

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