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パル 自社EC用の倉庫を稼働、ロボット導入で生産性向上、500億円達成へ物流強化

2024年 4月11日 12:00

 総合アパレルのパルは4月3日、自社通販サイト「パルクローゼット」の成長に伴って神奈川県平塚市内の物流施設「DPL平塚」に倉庫移転し、自動搬送ロボットなどを活用した「パルクローゼット・ロボティクス・ソリューション・センター(PRSC)」を本格稼働した。

 パルは、EC運営の内製化を始めた2017年2月期の自社EC売上高18億円(EC全体は72億円)に対し、24年2月期は200億円弱(同500億円弱)が見込まれるなどEC事業が急成長しているが、倉庫や物流のオペレーションはほとんど変わっていなかった。

 5年後の29年2月期には自社ECで500億円(同1000億円)を目標に掲げており、倉庫のキャパシティ拡張と生産性の向上を図ることで顧客への迅速な出荷体制を整えるとともに、ロボットの導入によって倉庫スタッフの人手不足解消につなげる。

 新倉庫は物流の大動脈である東名高速道路の厚木ICから約3キロ、新東名の厚木南ICから約1・3キロの好立地で、これまで複数拠点に分かれていた倉庫を集約した。

 「PRSC」は「パルクローゼット」の在庫管理、注文処理、梱包、配送を担い、以前からパルのECと物流業務をサポートするアッカ・インターナショナル、倉庫自動化ソリューションを手がける仏Exotec(エグゾテック)社の支援を受けて運営する。

 新倉庫では約2300平方メートルのシステムエリアにExotec社のSkypod(スカイポッド)システムを導入。同システムは商品を入れたコンテナを格納する保管棚と、倉庫スタッフがピッキング作業を行うピッキングステーション、コンテナを運ぶ自動搬送ロボットで構成されている。

 従来の倉庫では人の手で保管棚から商品をピックアップしていたが、新倉庫のシステムエリアでは自動搬送ロボットが床面を走行し、保管棚の間を昇降して商品の入ったコンテナをピッキングステーションまで運ぶことで倉庫スタッフの負荷を大幅に削減し、生産性を高める。

 今回、倉庫の天井高に合わせた5メートルの保管棚を設置し、約2万6000のコンテナに商品を保管することで、従来比3倍の高密度保管を実現したほか、約50台の自動搬送ロボットの導入によって出荷数も従来比3倍になるという。

 パルでは、「当社の成長にEC事業は欠かせないパーツで、今後の事業拡大にはEC物流の基盤強化が課題だった。今回の倉庫移転、先進の物流ソリューションを導入することで成長に向けたハードルのひとつを取り除くことができ、顧客満足度の向上に注力できる」(堀田覚専務執行役員)と強調する。

 また、「PRSC」では成長に合わせた拡張性を持たせており、「保管棚やピッキングステーション、自動搬送ロボットを拡充することで、500億円規模までの成長を担保できる。今後、人の確保が危機的になると予想されるが、ロボットの活用で乗り切りたい」(堀田専務)としている。

 
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