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化粧品OEMの成長戦略㊥ サティス製薬、「製品評価技術」で差別化

2012年11月22日 17:02

 「インテルを目指す」。サティス製薬の山崎智士社長が語った言葉に正直驚いた。インテルといえば、アメリカの半導体大手。一方のサティス製薬は、直近の決算が前期比34・9%増の20億5000万円。毎年2桁成長を遂げているとはいえ、100億、200億円規模の大手が複数社ひしめくOEM業界にあっては中堅の部類に入る。その真意と競争戦略はどのようなものなのか。

 「インテル入ってる」というのは、そのPCが高性能であることを印象づける、インテル社の有名なキャッチコピーだ。サティス製薬では、各社が「ナチュラル・オーガニック(天然性の追求)」と「アンチエイジング(機能性の追求)」のいずれかに向かう中、これを併せ持つ"ナチュラル高性能"な化粧品を実現。その商品開発力で販売事業者をバックアップし、化粧品業界の裏方としてインテルと同様の存在感を発揮しようというわけだ。

 今期(2013年9月期)、同社は異業種のナショナルメーカー10社の通販参入支援を目標に掲げる。そうなると、通販事業者にとっても無視できる話ではない。

 サティス製薬がこれまで力を入れてきたのは、"ナチュラル高性能"を担保する素材開発。2年前から農業や漁業を営む全国の生産者と自然素材を開発する「ふるさと元気プロジェクト」を始動。この活動とは異なるが、今年6月には植物性防腐剤で特許も取得した。

 ただ、素材開発以上に重要視するのが「評価試験技術」だ。いくら優秀な素材や製品でも本当に優れているか"確かめる技術"がなくては、高性能とは言えないためだ。

 OEM業界で、評価技術を強化している企業はあまりない。外部には評価専門の企業もあるが、化粧品に特化してはいない。苦労して"50人の臨床試験結果から作用が認められた"という結果を得ても統計上は母数が足りず、認められない。また、開発段階の製品を含め、1つ1つの製品を評価するには膨大なコストがかかる。このため販売会社としても活用しきれていないのが実情だ。

 "○人中9割の支持を得た"というモニター試験にしても、肌性には個人差がある。たまたま似通った肌性を持つモニターが集まったとすれば、製品を客観的に判断できたとは言い難い。「"ナチュラル高性能"を実現するには、評価試験部問を内製化していることが絶対条件。処方設計を行う部門とリレーションを強化し、PDCAサイクルを回していくことが必要」(山崎社長)とする。

 現在保有する試験数は約70。ただ、その多くは素材を評価するもの。クレンジング機能やヘアケアの色持ちなど製品評価は約2割(15件程度)に留まる。これを2年で50超まで積み上げていく。

 もう一つ、評価試験を強化する理由がある。アジア市場における競争優位性の発揮だ。

 欧米企業が先行するアジア市場だが、「欧米人とアジア人の各肌データから生み出された最適な化粧品は異なる」(同)。また、世界的にも製品の評価技術はあまり確立されていないという。サティス製薬では日本人の肌データを数千規模で保有。今後、アジアのいずれかの国にリサーチセンターを設立。アジア各国の肌データを集め、評価技術を活用した製品開発を行っていく。
(つづく)

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