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ポイント ウェブ素材を店頭でも活用

2013年 6月 7日 15:55

051.jpg 大手アパレルのポイントはネットとリアル店舗の双方向で連携を深めることでCS向上につなげているほか、通販売り上げを押し上げる効果も出てきているようだ。

 同社は昨年11月、「ウェブの強化」と「顧客接点の拡大」を目指して自社通販サイトの全面リニューアルを実施。ブランドサイトと通販サイトを統合することで分散していたトラフィックを集めて集客力の向上を図った。また、スマホ経由の売り上げが伸びていることもあり、システムを改修してスマホに適した導線設計やレイアウトに改める必要があったという。

 サイト刷新に伴い、全12ブランドの商品を販売する「コレクトポイントウェブストア」では、全国に約800ある実店舗との連携を深めた。

 一環として、店とネット共通のポイントサービス「コレクトポイントメンバーズ」を開始。従来、実店舗では顧客の購買情報などを蓄積していなかったが、刷新を機に1to1マーケティングを行える体制を整備した。

 共通ポイントの導入に際しては、全ブランドの事業部長や各店店長などへの説明会を実施。会員を獲得することで会社全体やブランド、実店舗への波及効果を伝えて店舗側の協力を得たという。

 また、リニューアルと同時に通販サイトで取り置き注文した商品をWEB営業部が管轄する実店舗「コレクトポイント原宿」(東京・渋谷)で受け取ったり、試着できるサービスを開始した。

 同社では、取り置き注文が入るとネット用の在庫を原宿店に届け、顧客にメールで伝える。店頭では販売員が別の商品も含めたスタイリング提案を行うことでリアルの強みである接客力を生かす。注文客が当該商品を購入した場合、売り上げは店舗に計上し、購入しなかった場合も往復の配送費をかけないために原宿店の在庫とする。

 また、機能面では商品ごとの店頭在庫を商品詳細ページに表示し、目当ての商品が近くの店舗にあるかウェブ上で確認できるようにした。

 クリエイティブ面では、キラーコンテンツである店舗スタッフのスタイリングページの画像を大きくし、モデルの身長や着用サイズなどを追加してイメージがわきやすいようにしたほか、一部アイテムの詳細ページには動画を導入。全アングルから商品のディテールを確認できるようにした。

 今年4月からは、トップページで各ブランドのスタイリング動画の配信も始めた。スマホでも見られるように設計しており、商品のディテールを見せる動画が10~20秒なのに対し、スタイリング動画は20~30秒を使って着こなしを見せる。

 現状、シーズンのキーアイテムを中心に撮影しているが、他社モールにはないサービスとして強化する方針で、対象商品を増やしていく。

 同社では、自社でウェブ用のスタジオを構え、モデルのキャスティングや撮影などもすべて自前で行っているため、こうしたビジュアル素材を店頭でも有効活用したい意向だ。

 人気ブランドの「ローリーズファーム」「ジーナシス」「ハレ」メンズの店頭では、B5サイズのポップに商品のコメントや価格などを記載するのに加え、通販サイト用の静止画像を見せる取り組みを開始。コレクトポイント原宿ではすでに動画の活用もスタートしており、今後、展開する店舗を広げる。

 同社によると、販売員が着用している服だけでなく、ラックにかかっているアイテムについても、どんな商品と一緒に着ればいいかをサポートできるツールとして店舗側の反応もいいようだ。

 通販サイトの刷新を機にネットと店舗の連携を深めた結果、「会員数、売り上げとも想定以上に伸びている」(同社)としており、実際に会員数は刷新前の70万人に対し100万人を超えている。

 同社は、顧客情報が蓄積できるようになったことで、今後はCRMの強化に本腰を入れるほか、顧客接点を増やすために新しいコンテンツを導入する考えで、顧客参加型のスマホアプリや、来店頻度を高めるコンテンツなども視野にある。

 ポイントの2013年2月期のEC売上高は前年比15・5%増の82億3200万円で、そのうち自社ECは同11・7%増の36億6400万円に拡大。刷新効果が発揮される今期は、「かなりアグレッシブな目標を立てている」(同社)という。
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