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【通販支援の仕掛人に聞く】トランスコスモス・アナリティクス 河野洋一社長

2013年 9月12日 10:05

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トランスコスモスは昨年5月に、CRM調査や分析コンサルティングを行う完全子会社としてトランスコスモス・アナリティクスを立ち上げ、同年8月から営業を開始した。ビッグデータやソーシャルメディアなどの観点からも注目されるが、トラコスの主力事業であるコールセンターや通販サイト運営支援業務と果たしてどのように連携していくのか。アナリティクスの河野洋一社長(=写真)に業務内容や今後の展望などについて聞いた。


──会社立ち上げの経緯は。

 「もともとトランスコスモスの中にアナリティクスを行っている部署はあった。私が入社した時に分析の事業部を立ち上げて、今年で11年目になる。そこを1年前に切り出して『アナリティクス』という会社にした。そもそもトラコスと言うとコールセンターのイメージがあり、なかなかマーケティングという切り口では取り上げられない。私としては『マーケティングのトランスコスモス』を前面に押し出していきたかった」

 「トラコス本体はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)でコールセンターやECサイト作成、ネット広告など役務の提供をメーンにしているが、その結果VOC(顧客の声)やECサイトでの足跡などたくさんのデータが自然と貯まる。それを活用しないともったいない。BPOで派生して生成されるデータをアナリティクス(分析)すればマーケティングにうまく使えるのではないかという発想だ」

──この1年間で取り組んできたことは。

 「今までの11年間と変わってきたのは、ソーシャルメディアの普及。スマホの普及に合わせてフェイスブックやツイッターが大繁盛している。そういうソーシャルメディア上に書かれていることをマーケティングでどう使えるのかというところは最近のトレンドだ。ただ不思議なことに、欧米でも同じだが、購入する際にくちコミを参考にすると言われているが、くちコミの量と売り上げが関係あるのかないのかを科学的に証明した文献や記事はあまりない。くちコミ分析をして何か新しいことが分かったかと言われるとそんなに画期的な事実はこの1年の分析では出てきていない」

 「それよりもコールセンターに寄せられるお客様の声はタイムリーに入ってくる。その時に『なぜほしいのか』が聞けるので、そちらのほうが情報量としては多く、カスタマーインサイトを把握するという観点ではより深い。コールセンターに寄せられるVOCを分析した結果、ECサイトのトップページのキャッチを変えたり、媒体を変えたりといった具合にコールセンターのVOCの活用のほうが効果を上げているケースは多い。ソーシャルは手間がかかる割にはビジネスという観点から考えると成果を挙げるのが難しい」

──今後は。

 「コールセンターに関しては顧客の声をより広く深く聞くような情報収集センター化を目指す。ECサイトについてはより個人にとって使いやすいサイトを追求していく。今は例えば100人いれば100人向けの最大公約数的なECサイトになっている。しかし一人一台スマホを持ち、位置情報が分かり、着せ替えアプリがあったり、より一人一人にとって心地良いサイトになっていくだろう。もはやECとは呼ばないかもしれないが、その人にとっての"コンシェルジュサイト"のような形になっていくのではないか」

──目標は。

 「現状はコールセンターとECサイトの運用、ネット広告の展開などを行う中で集まったトランザクションをITによって、今風の言い方をするとビッグデータ化して分析する。その結果、具体的な施策にまで落とし込んでコールセンターやECにフィードバックしている。この一連の流れを作っている。ただ、分析のための分析をやっても意味がない。分析は決して目的ではなく、あくまでコールセンターでより深く聞く、ECサイトをより使いやすくするための手段に過ぎない。私たちの究極の目的は、従来の事務処理的なコールセンターを情報収集センターに、真の意味でのコミュニケーションセンターに変え、従来のECサイトやアプリを個人に心地良いものにパーソナライズ化していく。これが私たちアナリティクスおよびトラコスグループのゴールだ」

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