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スタイライフ  黒字体質で楽天に吸収合併、市場連動企画でも成果

2015年 3月19日 15:25

 5-1.jpgファッション通販サイトを運営するスタイライフの2014年12月期業績は、10年3月期以来の黒字となった。楽天の傘下に入って以降、コスト削減を徹底してきたほか、楽天流のドリルダウンしたKPI(重要業績評価指標)検証を重視。毎週、開発やカスタマー部門、バイヤーチームなどが集まる業務改善プロジェクトの推進が実を結んだ。

 スタイライフは4月1日付けで親会社の楽天と楽天スーパーロジスティクスに事業譲渡し、吸収合併する(本紙1501号で既報)が、健全な事業体質を構築した上での吸収合併となった。

 スタイライフはこれまで、「楽天市場」内のファッション専門サイト「楽天ブランドアベニュー(RBA)」に「スタイライフ」として出店。同サイトで取り引きがあるファッションブランドと楽天ユーザーをつなぐ重要な役割を担ってきたのに加え、「RBA」の撮影業務やサイトの編集力などを提供してきた。

 総合モール「楽天市場」のトップページはバザール感やライブ感を重視しているが、「RBA」ではブランド名、商品カテゴリーでの検索のしやすさや、ファッション商材を掲載するのにふさわしいページ構成とした。とくに"1ブランド1ショップ"というブランドの世界観を崩さずに展開できる売り場ページを強化することで、楽天市場とは一線を画してきた。

 検索面では例えば、人気ブランド「スナイデル」の商品を「RBA」内で検索すると、「スタイライフ」で扱うスナイデルの商品しか表示されないほか、楽天市場のトップページで検索する場合でも、検索結果の一番上に「スナイデル」の1ブランド1ショップのバナーを表示し、公式ページへの導線を強めている。

 キャンペーン時であっても、モデル画像やテキストの字体などを含めてブランドとのコミュニケーションを密にしながらサイトを運営。関係構築を優先してきた結果、ブランドの「RBA」に対する印象は、当初の「半信半疑、不安」から「熱心、イメージが良くなった」へと改善。14年下期(7~12月)は「RBA」の売り上げが大きく伸びたこともあり、「好印象、好結果」へと変化してきているという。

 実際、スタイライフは12~14年の間に482ブランドとの取り引きを始めたが、そのうち96%が「RBA」にも出店していることから、ブランド側にも"RBA=ファッション専門サイト"のイメージがついてきているようで、現状、1ブランド1ショップの形で展開するブランドも「ナノユニバース」や「スナイデル」「ローリーズファーム」など46ブランドに増えている。

 前期、「RBA」の売り上げは前年比数倍の成長を遂げ、スタイライフの単独黒字化に大きく貢献したが、事業の急拡大には年数回開催の「楽天スーパーSALE」やポイントアップキャンペーンの「お買い物マラソン」など、楽天市場連動企画への参加ブランドや出品アイテム数が伸びたことも影響している。
 
 例えば、昨年12月初旬にスタートしたポイント還元率の高い商品を定価で販売する「楽天スーパーDEAL」が好調で、とくに値崩れを嫌うファッションブランドからは同コンテンツで定価販売を推奨していることを評価されているようだ。
 
 「楽天スーパーDEAL」では、従来はさほど目立たなかった定番アイテムにスポットが当たり、「楽天市場」出店店舗の平均売上高である月商350万円を1アイテムで稼ぐ事例もあるほか、コートなどの高額品の動きもいいという。そのため、今後はブランド単位だけではなく、アイテム単品でも「楽天スーパーDEAL」に出品できるプラットフォームを構築する考えのようだ。
 
 また、年末年始の福袋企画についても、これまでは見られなかった傾向として、「○○の福袋が楽天で売っている」という内容のツイートやインスタグラムでの投稿が拡散したこともあり、ファッションブランドが出品した福袋の消化率はほぼ100%だったという。
 
 4月以降、「スタイライフ」は楽天が運営するが、「取引先の反応は非常にポジティブ」(松山奨副社長)とし、楽天ユーザーの購買力に期待するブランドは多いようだ。

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