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「機能性表示食品」販売戦略㊦ トウ・キユーピー、広告投資1.5倍に

2015年 9月10日 13:41

 3-2.jpg4月に始まった機能性表示食品制度では、約半年の間に多くの成分が「機能性関与成分」として届出が受理された(=)。その大半は、栄養機能食品や特定保健用食品(トクホ)では認められてこなかったものになる。その中で、機能性表示食品として初めて受理されたうちの1社であるトウ・キユーピーも従来のトクホなどでは許可されてこなかった「ヒアルロン酸」で届出を行った。



 トクホではこれまで「歯、骨、お腹」という身体の部位しか認められてこなかったが、同社の「ヒアロモイスチャー240」(機能性関与成分・ヒアルロン酸Na)は、初めて「肌」に訴求。「肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する機能があることが報告されています」といった表示を行う。

 トウ・キユーピーでは、機能性表示食品の届出を機に、通販事業の戦略も大きく転換する。昨年12月には、スキンケアブランド「キユートピア」も立ち上げており、ミスト状化粧水、美容液など2アイテムをラインアップ。今後は機能性表示食品を入口に美容関連の訴求を強化していく。内外美容の提案で化粧品へのクロスセルを強化。ターゲットとなる年齢層も引き下げていく。

 現在の中心年齢層は65歳。これを55歳前後にするため、40代半ばの女性層を意識して新規顧客の獲得を進めていく。これまでは介護食通販も展開していた影響から会報誌は高齢者に配慮した作りとなっていた。これが美容訴求で獲得した顧客の離脱要因となっており、この点も改善を加えていく。

 通販事業の業績は、前期(14年11月期)の売上高が14億700万円(前々期は変則決算)。このうち健康食品通販は約13億円に上る。今期は、機能性表示食品の販売で広告投資を強化しているものの、介護食通販は流通ルートの開拓が進んだことを受けて通販を終了するため、見かけ上、減収となる。ただ、健食事業単体では増収減益を見込んでいる。

 また、来期は、機能性表示食品の販売強化を念頭に広告投資を積極化。前年の1・5倍の広告費投下を予定している。「ヒアロモイスチャー240」は、リニューアル前(届出前)の商品が年間約2億円の売り上げに達していたが、来期は3億円の売り上げを計画する。



 3-1.jpg6月に販売を始めた「ヒアロモイスチャー240」は、紙媒体とウェブ上の広告で展開。紙媒体におけるレスポンスがリニューアル前の1・3倍に増加している(今年7月時点)。ただ、当初は、媒体社を含め広告考査が手探りの状況であったこともあり、届出表示や機能性関与成分、作用メカニズムなど多くの要素を広告に盛り込み、分かりづらい面があった。このため、QRコードを使ったウェブへの誘導や、広告表示の精査などクリエイティブの検証を進め、レスポンスを高めていく。

 一方でウェブ広告では発売前後でレスポンスが10倍に伸びており、今後、よりウェブに寄せた展開で新規顧客との接点を創出していく。

 さらに、既存客に対するフォロー施策も強化する。これまで定期顧客への引き上げに向けたCRM設計など、成果の評価が比較的容易な新規獲得に偏り、離脱抑制のCRM設計など、評価に数カ月の期間を要する既存客向けの施策展開は遅れがちだった。だが、機能性表示食品の展開に併せてフォローコールなどアウトバウンドのテストも開始。顧客接点を増やすなどして既存客向けのCRMの改善を図っていく。

 一方、これまで中核商品の一つとして展開してきたオールインワンタイプのサプリメント「元気セブン」は、ウェブ中心の展開にシフト。同商品を含め、ラインアップする健食は可能な限り、機能性表示食品、栄養機能食品など明確なカテゴリがある食品としてラインアップしていく。
(おわり ※前回はこちら
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