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りらいあコミュニケーションズ  在宅でコールセンター、通販の新規受注でコスト削減

2016年 6月23日 14:53

 りらいあコミュニケーションズ(旧もしもしホットライン)はコールセンターの業務を在宅のオペレーターが対応するサービスを開始した。在宅の場合、家賃などが不要のためコスト削減につながり、柔軟な勤務シフトが設定できるのが強み。5月中旬から化粧品通販企業の受注業務の一部をコールセンターから在宅に切り替えたところ、一定の成果が出ているという。在宅での勤務は、子育てなどにより外に働きに出られない人材を活用できるというメリットもあり、同社では引き続き在宅コールセンターサービスを拡大していく方針だ。

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 同社は化粧品通販企業が新聞広告を出稿した際の新規の電話受注業務を請け負っている。コールの繁閑に合わせて札幌のセンターで1~9席の規模で対応し、BCP(自然災害や大規模停電などを想定した事業継続計画)の観点から新宿のセンターでも1席を運営していた。5月中旬から新宿の1席分を在宅に切り替えた。

 そもそも新宿のセンターは1席あたりのコストが高いが、在宅のオペレーターであれば家賃や交通費がかからず必要な設備を整えるだけで業務ができるため、コストメリットがある。

 また、新聞広告の電話受注は新聞が配達される朝と夕方に多くなるという特徴があり、コールの繁閑に合わせてピンポイントで対応できるのも強み。現在、在宅オペレーターは4時間の勤務だが、今後は2時間など短い時間で対応できるようにしていく。

 こうした「コスト削減」や勤務時間の「柔軟性」が顧客企業へ訴求する際の強みだが、りらいあ側としても人材を有効に活用できるというメリットがある。同社によると、オペレーターの中には高いスキルや経験があっても家庭の事情などから外に働きに出られなくなる人材は多いという。人手不足が深刻になる中で「必要な教育と管理の仕組みを整えることでそうした人材を活用できる」(同社)と判断した。実際、今回在宅オペレーターに採用した首都圏在住の2人も、同社で長く勤務していた実績を持つ。

 給与は通常のコールセンターと同様に時間給での契約。成果報酬型の給与形態で在宅勤務を行う企業もあるが、りらいあはあえて時給制にした。「法務部や顧問弁護士と相談した上で、働く側が成果に追われずに、きちんと電話対応ができる」(同社)と考えたためだ。

 在宅での勤務は情報漏えいなどセキュリティ面を不安視する声もある。同社の仕組みではオペレーターのもとに設置したカメラを通して、札幌のセンターから勤務状況をチェックし、リスク管理を行う。オペレーターが使う端末も暗号化されており、専用のパスワードを入れないと立ち上がらないなどセキュリティ面は高くしている。また、同社で数年以上の勤務実績があるなど一定の基準を設け、信頼できる人材を採用することで漏えいのリスクを減らしている。

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 在宅の運営を始めて1カ月が経過。家賃や交通費がかからないため、1件当たりの単価は在宅のほうが札幌のセンターよりも安価になっている。そのため在宅オペレーターが優先的に電話に応対し、余った分のコールを札幌でとっている。運用面でもオペレーターのスキルの上がり方や処理効率などは「通常のコールセンターと変わらない」(同社)と手応えをつかんでいる。顧客である化粧品通販企業の感触も良く、コスト面を考慮し在宅で対応する規模を増やす可能性もあるという。

 りらいあは今後もコストメリットを訴求し、在宅コールセンターの取り組みを強化していく。

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