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【マガシークの井上社長に聞く】 ファッションECの成長戦略は?㊦

2016年 6月23日 15:43

021.jpg 前号に引き続き、マガシーク(本社・東京都千代田区)の井上直也社長(=写真)に事業の好調要因や成長戦略などについて聞いた。

――サテライト戦略の成果と課題は。

 「ひとつの在庫を複数の売り場で販売することにより、販売力と仕入れ力を高めることがサテライト戦略の狙いだ。『マガシーク』以外では、NTTドコモと共同運営する『dファッション』が想定以上に順調だ。ただ、近鉄百貨店さんとの衣料品通販サイト『ハルカススタイル』はまだまだ小粒の状態。集客は百貨店側に任せているが、店頭にポスターを貼ったりするなど、ウェブからウェブへの集客にはなっていない。今後は当社もウェブマーケティングの部分で協力しながら伸ばしていきたい」

――今後もサテライトサイトを増やすのか。

 「『ハルカススタイル』以外でも百貨店との協業を進めたい。店頭で欠品している商品のウェブ受注なども含めた体制が構築できれば、サテライトサイトの認知も高まるし、使ってもらいやすくなる」

――主力サイトの新客開拓については。

 「前々期は『クリテオ』など既存客への広告に力を注いだが、前期はウェブ広告を前年の7割くらいに絞り、新規開拓用に集中した。今期は4月に始めたキュレーションメディア『マガカフェ』からの流入にも期待している。ウェブ広告を増やすのではなく、雑誌を見て欲しくなった商品を購入してもらうという『マガシーク』の原点に返り、『マガカフェ』のファッション情報で消費者の"欲しい瞬間"を演出する。最初の半年間はPVを増やすことに集中する。ロケットベンチャーと組んでスタートしたが、ゆくゆくは社内でもノウハウを蓄積し、部分的に内製化することもあり得る」

――オフラインでの露出などは。

 「今期は1万人規模のリアルイベントでのクーポン配布なども行っていく。客層が近い異業種とアライアンスを組んでファッション以外のイベントで露出する。イベント自体に協賛するというよりは、入場券にポイントクーポンを刷り込んだりするイメージだ」

――「マガシーク」内で"欲しい瞬間"を演出する工夫は。

 「当然ながら消費者の欲しいアイテムを切らさない努力は大事だ。また、商品画像の強化にも取り組んでいて、ロケ撮影なども増やしている。当社ではトリミングなども重視し、一部のアイテムではあえて服をすべて見せずに興味をひきつけ、詳細ページに誘導したりしている。"もう少し見たくなる写真"というのもキーワードだ。そういう画像はクリック率も高く、詳細ページでしっかり在庫があればコンバージョンにつながる。ここぞというアイテムにはスペシャルな画像を用意する。取引先ブランドとの在庫連携が進展し、画像の同一化が進んでいるため、差別化につながる画像は大事だ。同時に、ブランドの協力を得ながら、1アイテムで1000~2000点売れる商品を増やしていく」

――メルマガ経由の売り上げ拡大にも力を注いでいる。

 「現状、メルマガ経由の売上高は2割程度まで増えているが、3割くらいは目指したい。以前からシナリオメールは専門チームを作って『マガシーク』と『dファッション』で強化している。カートに入れっぱなしの商品が残り1点になったり、値下がりしたときにお知らせするベーシックなものも含め、多種多様なシナリオを考えてテストを繰り返している。今後は『マガカフェ』のコンテンツをメルマガに掲載したり、各ブランドのトップページにあるコンテンツを抽出し、そのブランドを好みそうなユーザーに絞り込んでファッションニュースを届けたりということもCRM施策として強化する」

――今後の成長速度については。

 「17年3月期は前年比20%以上の増収は狙いたい。売り上げが伸びれば利益もついてくる。計画通りの売り上げを確保することが大事だ。トータルの取扱高は前期に約170億円となったが、これを早く300億円、400億円規模にもっていきたい」


――注目しているサービスなどは。

 「ファッションのオンラインレンタルサービスについては『マガシーク』で扱うアイテムがすべてレンタルできたら面白いし、ニーズはあるとみている」(おわり)

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