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楽天のフリマアプリ、販促強化で業界首位へ

2016年12月 1日 13:57

楽天では、スマートフォンで個人間の売買取引ができるフリーマーケット(フリマ)アプリで取扱高業界首位を目指す。楽天グループでは、楽天の「ラクマ」と、子会社のFablic(ファブリック)が運営する「フリル」という2種類のフリマアプリを提供している。最近は利用者増に向けてテレビCMなどの販促を強化しており、出品手数料が無料であることなどを打ち出し、最大手の「メルカリ」を追撃する。

 ラクマは2014年11月のサービス開始当初から手数料を無料としていたが、12年7月にサービスを開始したフリルは今年10月に手数料を無料とし、これをアピールするテレビCMもスタート。取扱高は10月が前月比66%増、11月は同63%増と急増させている。

 フリルが扱う商品はファッション(今年10月の購入実績では全体の57%)と化粧品・美容関連(同14%)が中心で合計すると約70%。さらに10~20代女性が多い。一方、ラクマはファッション(同30%)と化粧品・美容関連(同10%)はフリルより少なく、キッズ・ベビー(同20%)、エンタメ・ホビー(同17%)と扱われる商材は幅広い。ユーザー層は20~30代が多く、主婦や男性も目立つ。

 楽天では「(両サービスの)将来的な統合は見据えている」(C2C事業部の井上貴文ジェネラルマネージャー)としながらも、強みとするカテゴリーやユーザー層が違う点などを活かし、当面は両サービスの取扱高を個々に伸ばしていく。

 両サービス間では総合送客キャンペーンを開始。フリルにおいては楽天との連携をさらに強める方針で、楽天IDでログインできるようにしたり、楽天グループの「楽天スーパーポイント」やクーポンを活用した販促を展開したりする。さらに、「(フリマアプリ)は売り買いにおいてはコモディティー化した部分は大きいが、決済や物流については改善の余地がある。楽天グループと連携して、他のフリマアプリにはできない部分を強化したい」(フリルの堀井翔太社長)とする。

 今後は楽天市場との連携も強めていく。12月には、両サービスを楽天市場事業の属する「ECカンパニー」に移管。「(フリマアプリは)楽天市場とは非常に相性が良い。購入履歴から簡単に出品できるような仕組みも検討しており、さらなる強固な連携を進めていく」(楽天の井上ジェネラルマネージャー)ことで、フリマアプリへの自然流入数を増やす。

 マーケティングに関しては、フリルでは手数料無料を引き続き訴求。ラクマは楽天の特色を大きく打ち出していくほか、カテゴリー戦略を強化。キッズ関連やスポーツ・アウトドア関連が売れる点などを、広告のクリエーティブで打ち出すことで、フリルとの住み分けを図る。

 現在、フリマアプリの業界最大手はメルカリが提供する「メルカリ」。ラクマ・フリルの合計取扱高は、「メルカリ」の3分の1程度という。「大々的にプロモーションして手数料無料をアピールした『メルカリ』に大きく水を空けられてしまった」(フリルの堀井社長)としているが、テレビCMの展開による手数料無料の浸透や、楽天グループの強みを活かして使い勝手の改善などを進めることで巻き返しを図る。

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