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アットシェルタ、店頭とECで在庫を相互利用

2017年 3月30日 10:22

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アバハウスインターナショナル子会社のアットシェルタは、リアル店舗とネットの連携を深める。

 販売機会ロス低減を目的に、昼間は売り上げの大きな実店舗がEC在庫を活用し、店の営業時間外はECが店頭在庫を活用するといった「24時間在庫を眠らせない取り組み」(木村保行社長)を昨年から本格化している。

 店舗では、欠品している商品をタブレット経由でEC在庫を顧客の自宅に配送したり、店頭で受け取れる仕組みを靴のブランドで一昨年に始動。半年ほど前からは全ブランドに拡大し、全体の3分の2以上の店舗で取り組んでいる。

 同サービスは店頭決済となり、現状ではサイズや色展開が多く、すべてのSKUで在庫を抱えにくい靴ブランドでの利用が多いようだ。

 ECの店頭在庫活用については、実店舗の在庫数が確定する営業時間終了後(午後9時~午前7時半)に引き当てを行う。そのため、顧客が店舗の営業時間内に通販サイト「アットシェルタ」を利用する場合、EC在庫が欠品している商品の購入ボタンは「夜間取寄せ」に切り替わり、注文が確定していないことを伝える(画像)。

 午後9時以降、在庫が確保できた商品の購入希望者にメールが届き、顧客はEC上で決済する仕組みのため、同社では午後9時以降にEC売り上げが大きく伸びるという。EC用に店頭在庫を引き当てる際はルールを設け、特定の店舗に集中しないようにしている。

 現状、24時間在庫を眠らせない取り組みはECの店頭在庫利用の割合が高く、自社通販サイトの売り上げのうち、店頭在庫の引き当て分が15%程度を占めているようで、セール時期にはさらに比率が高まるという。

 今後は、店舗用に比べて少ないEC在庫を増やすことで店からの引き当てに応えるほか、店頭でのタブレット活用を促進する意識改革も必要で、大都市圏の店よりも在庫が薄い地方店の販売拡大にもつなげたい考え。

 また、同社では通販サイトの商品詳細ページにある「店舗在庫を調べる」ボタンをクリックすると在庫のある店舗が表示され、試着予約ができるようにして顧客の利便性を高めている。ただ、従来の電話申し込みに比べて簡単に取り置きができるため、試着予約をしても来店しない顧客がいることから、今後は会員ランクに応じて通常は7日間の取り置き期間を短くすることなども検討する。

 加えて、オムニチャネル化の推進と利便性向上の観点から、「アットシェルタ」で購入した商品を店頭で返品できる仕組みも導入する計画だ。

「マイセルフ」をEC型に転換へ

 一方、EC強化と取り扱いブランドの収益性改善などに向けて、アバハウスが手がける郊外型のレディース・メンズアパレル「マイセルフ アバハウス」を今秋冬シーズンからECを主軸としたブランドに転換する考えだ。将来的な店舗展開は視野にあるものの、EC専用ブランドを手がけるのは同社では初めてで、約10店舗あった店を縮小しているところだ。

 新生・マイセルフのコンセプトなどは詰めているところだが、従来の人件費を含めた店舗運営コストをウェブプロモーションやコンテンツ製作などのクリエイティブに回し、ECチャネルで勝負できるようにする。

 今回、マーケティングとPRの担当者を同ブランドの責任者に抜てきしており、モノを作るチームと売るチームが一体となって取り組むという。

 元々、価格訴求力のあるブランドだが、テイストをモードに寄せ、メインターゲット層は現在の30代中心に対し、20代後半~30代前半に設定。SNSなどでプロモーションを展開し、「アットシェルタ」と他社ECモールでの販売を計画する。

 8月までにテストマーケティングを行い、9月からの秋冬シーズンに合わせて本格始動する。ウェブ上では商品の着こなしをイメージしやすいようにコーディネート比率を高めて見せるとともに、縦積みして単品売りを強化するという。

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