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千趣会「MD・売場改革を推進」 中期経営計画を取り上げ、MDは機能性を重視へ

2017年 8月 3日 17:30

 千趣会は、衣料品を中心とした通販事業の不調に伴う業績悪化を受けて、2018年12月期を最終年度とした中期経営計画を取り下げ、10月下旬までに新3カ年計画を策定する。

 顧客戦略について従来の中計では、30~50代女性を5つのセグメントに分け、個別対応で顧客拡大に着手。衣料品では30代キャリア向けの新媒体「リルネ」、50代向けには「ヴィアラモ」を創刊するなど、セグメントごとに媒体を展開したが、結果的にアプローチが手薄となり、強かった育児ママや主婦・パート層でも顧客数を減らした。

 商品戦略では、顧客戦略に基づく過剰な商品開発の結果、商品力が低下して不良在庫も増えた。また、SPAによる利益追求を前提とした基幹ブランド「ベルメゾンデイズ」を15年9月に立ち上げたが、開発商品と不良在庫が増加。ライフスタイル系は健闘しているものの、衣料品の不振は深刻で、「ジャンル横断型にしたことが戦略ミスだった」(星野裕幸社長)と振り返る。

 こうした顧客戦略・商品戦略を反省し、今後はターゲット層のリアルなニーズに沿った品ぞろえへの再構築を行うとともに、オリジナル商品開発は厳選して在庫リスクを抑える。

 3年連続での赤字を見込んでいる通販事業は18年度の黒字化が目標で、「ファッションの出血を止めることが大事」(星野社長)とする。

 ファッション系は縮小による効率化を推進。40代後半~50代向け商品や、大きいサイズ商品に注力することになる。

 また、デザインと価格で勝負してきたMDを改め、機能性定番商品に開発を集中。吸水・速乾や冷感といった"機能性価値"を頂点にデザインと価格のバランスをとっていく。非定番商品はショートサイクル化して在庫が残らない事業モデルを目指す。SPA志向から、委託先工場が開発・生産した商品を自社ブランド名で販売するODM志向へと切り替える。

 一方でライフスタイル系は大幅拡大を目指し、「デイズ」をライフスタイルの中核ブランドとしてリブランディングする。加えて、エントリー、ミドル、アッパーブランドと戦略的に品ぞろえを強化し、とくに家具とファブリックを伸ばす。

 新客開拓の柱である育児領域では、評価の高いオリジナル商品をフル活用。ウェブマーケティングに力を注いで再成長につなげる。

 販売面ではメインの売り場をECとし、接客品質の向上を追求する。カタログは"売り場"ではなく"販促ツール"の役割に転換し、「計画的に縮小していく」(星野社長)。また、従来の制作作法から脱却し、工程を短縮してフレキシブルな対応を行えるようにする。
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