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光触媒マスクに措置命令 大正製薬が法的措置検討へ、「提出根拠全く無視」と対立姿勢

2019年 7月12日 13:30

 消費者庁は7月4日、光触媒の技術を使うマスクを販売する4社に、景品表示法に基づく措置命令(優良誤認)を下した。「花粉を分解する」などの表示が優良誤認にあたると判断した。これに対立姿勢を露わにしたのが、大正製薬だ。「提出した根拠を全く無視した内容」とのコメントを発表。法的措置を含めた対応を検討している。
 






「花粉を分解」根拠を認めず

 処分を受けたのは、DR.C医薬、アイリスオーヤマ、大正製薬、玉川衛材。4社は、光触媒を使うマスクについて「花粉が二酸化炭素と水に変わる」(アイリスオーヤマ)、「花粉アレルゲンやニオイも分解し、除去」(大正製薬)などと表示していた。消費者庁は「不実証広告規制」の規定に基づき表示の裏付けとなる合理的根拠の提出を要求。4社とも提出したが、いずれも根拠とは認めなかった。

 表示期間は、DR.C医薬が最長で2年4カ月、アイリスオーヤマが10カ月、大正製薬が最長で約6年、玉川衛材が約4年だった。売り上げは、確認できたもので、大正製薬が「1000万円ほど」。アイリスオーヤマは、約4万5000個を販売しており、売価(税抜398円)ベースで約1800万円を売り上げていた。

 消費者庁は、4社に違反の事実の消費者への周知、再発防止策を講じることを命じた。アイリスオーヤマを除く3社は、処分時点で表示を続けていたことから速やかに取りやめることも命じた。

「表示をやめる予定はない」 

 「表示は続けている。今後もやめる予定はない」。命令への反発を口にするのが大正製薬だ。「意見の相違があり遺憾。一生懸命開発した商品であり、完全否定は承服できない」。販売を続け、法的措置を含めた検討を進める。

 DR.C医薬も「消費者庁の判断を遺憾に思う」と話す。「マスクの機能、安全性そのものを否定するものではないと明確に言われている」として販売を継続。「全面的に受け入れるのではなく、処分内容を精査して検討する」と、今後の対応に含みを持たせる。ただ、来シーズンの販売に向け、表示はより適正なものを検討するという。

 一方、処分を全面的に受け入れたのは、アイリスオーヤマ。「事前の検証不足が原因。深くお詫びしたい」。商品もすでに6月末に販売を終了している。玉川衛材も「光触媒の効果自体は否定されない」とするが、すでに販売を終了している。

「効果がないというわけではない」

 「まったく効果がないということではない」。消費者庁は、光触媒技術についてこう説明する。「東京大学の試験では1年ほどで虫も分解できるらしい。だが、マスクの使用はせいぜい1日」(表示対策課)。処分も短期間での花粉等の分解を問題視したようだ。「製品の検証はなかった。即効性があると認識していたが不確かだった」(アイリスオーヤマ)。全面的な謝罪も根拠の不足にありそうだ。

 一方、大正製薬は、製品ベースの試験を「当然行っている」とする。製品は異なるがDR.C医薬も外部機関で製品を使った試験を実施。「短時間で分解がスタートする結果も提出した」と話す。(玉川衛材は、サイト公表以上のコメントを差し控えると回答)

企業反発に「分が悪い」の声も  

 一斉処分で、議論になるのが処分企業間の表示のトーンだ。「その打消し表示の意図は何か」「製品の試験データはあるか」。処分決定までに、消費者庁は細かなやり取りを重ね、対象企業の絞り込みを進める。

 17年の「葛の花事件」も「各社の表示はかなり差があり、妥当な処分と思えない企業もある」(公取委の元執行担当官)との見方があり、判断は難しい。同年、複数社の調査が行われた「甘草由来グラブリジン」を含む機能性表示食品も、その後の結論は不明。「蜂の子」を含み耳の健康ケアをうたう健康食品を販売する複数社に対する調査は、今も継続しているとみられる。「一部企業は、処分を免れた」(業界関係者)との声も聞かれる。

 「うちは水に変わるとは言ってない。そこまで言うつもりもない」(大正製薬)。消費者庁への反発も、根拠に基づき抑制的な表示に努めてきたとの思いがうかがえる。

 大正製薬の出方は今後を待つことになるが、周辺からは「争っても勝ち目はない」(元公取委の執行担当官)、「分が悪い」(元厚労官僚)といった見方が目立つ。「基礎実験として何らかの作用はあるかもしれないが、強い分解作用では人への危害も起こりかねない」(同)と話す。

「とくにコメントはございません」

 「リポビタンD」「リアップ」「パブロン」など数多くのヒット商品で盤石な体制を築いた同社だが、リアップ後発品の攻勢、ドリンク剤の苦戦など、本業を取り巻く環境は安閑としたものではない。昨年は、早期退職による大幅な人員削減を発表。20年3月期の連結業績も減収を予想する。そこにきて措置命令だ。

 「経験上、学術論争に発展するのは、競合企業、反対派の専門家の通報が端緒のケース」(業界関係者)との声もある。

 大正製薬の礎を築いた故上原正吉氏は、参議院議員を務め、科学技術庁長官としてその振興に尽力。「それだけに違法と判断されたことは承服しかねるのでは」(同)との声もある。今後どう反転攻勢に打って出るか。

 消費者庁は、処分企業の反発に「とくにコメントはございません。命令書にも争う方法を表示している」と話す。
 
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