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手ぶらで本人認証・決済 ECサイトへの導入も、日立製作所が独自生体情報認証技術を商用化

2020年11月 5日 07:20

 「手ぶらで本人認証、決済できます」。日立製作所は10月30日から、指静脈などの生体データで本人を認証できる仕組みの提供を開始した。決済サービスと紐付けることで認証番号などが不要かつスマートフォンなど使用せず、手ぶらで商品代金の支払いが可能になる。認証時にログインIDやパスワードが不要なことに加え、認証に使う生体情報も同社の独自技術で仕組み上、漏洩が起こり得ず安全性は担保される。飲食店での代金支払いやビルの入退室管理、ネット販売サイトでの本人認証の仕組みとしても導入を進めたい意向だ。

 日立製作所が同日から提供を開始したのは生体情報を活用して、本人認証、キャッシュレス決済が可能になる生体認証統合基盤サービスだ。指静脈や顔、虹彩、指紋などの生体情報を暗号化し登録、接触・非接触端末、汎用カメラ、POSレジなどで照合することで安全かつ確実に本人を特定するPBIと呼ばれる同社独自の対応技術に決済機能や商業施設での入退場管理機能などを紐付けることで利用者が手ぶらで決済や入場などができるようにするもの。

 従来から生体情報を活用した認証サービスはあるが、サーバー上に生体情報を保存・管理するために生体情報の流出の懸念があったり、ヤフーの会員ログイン時の認証などにも採用されている利用者が登録した生体情報を照合し、その照合結果のみをサーバーに送信してログインさせる安全性の高いFIDO(ファイド)認証も生体情報を登録するスマホなどを紛失したり、スマホを機種交換した際には登録をやり直さなければならないなどの課題があったが、日立のPBIでは利用者が登録し、クラウド上で復元不可能な形で管理した生体情報から本人認証を行う際に都度、”秘密鍵”を生成して利用後に破棄する仕組みで秘密の情報がどこにも保存・管理することがないため、情報の漏洩のリスクがなく、また、特定の端末に情報を登録しているわけでないため、様々な端末を使って認証できる利点があるという。

 同社では同認証サービスをクラウド型で提供。利用料金は月額フィーを徴収するという。まずは12月から同社の横浜事業所内のカフェ「猿田彦珈琲」で指静脈認証装置とタブレットで指静脈認証とクレジットカード情報を紐付けて決済できる仕組みを導入する(画像=デモの様子)。今後は飲食店やイベント会場、レジャー施設などでの飲食や物販の支払い、一般企業では社員証替わりにオフィスへの入退館時の認証に利用するなど幅広い事業者に向けてそれぞれの業種業態に合致した形で展開していく考え。

 また、ネット販売サイトでの会員ログインおよび決済サービスとしても利用を見込んでいるという。そのため、同社では指静脈を読み取ることができたり、現状では認識率の低い「顔」の認証精度を高めたカメラを搭載したスマートフォンなどを開発中としており、同端末やそれに準ずる他社製品のPC用カメラやスマホを活用し、ユーザ自身で本人認証のための作業ができる仕組みを確立することでネット販売事業者に導入を促していく考えで「来年度にも(ネット販売事業者向けに)サービス展開に着手したい」(金融ビジネスユニット・金融イノベーション本部の池田憲人担当部長)としている。今後は認証に紐付ける決済サービスを現状のクレジットカードのほか、口座引き落としにも対応するなど利用する企業や利用者の要望に対応すべくサービス強化を進めていく考えで「5年後に同事業関連で100億円の売り上げを見込む」(同)としている。
 
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