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通販需要を取り込め② 生鮮等の産直通販に照準、航空便で即日配送も

2010年 8月27日 17:54

 通販などtoC荷物の対応強化に乗り出した佐川急便。そのインフラ整備の一環として、集配拠点となる小型の営業店の拡充を進めているが、一方で、荷主の通販事業者から「サービス品質に対する要望が強くなっている」(井岡康治営業戦略部部長)という。通販事業者にとって宅配便は、単に商品の受け渡し等の機能を担うだけではなく顧客との接点。同社としても、通販事業者を開拓していくためには、より付加価値の高いサービスの提供は不可欠になる。

 通販関連の荷物を取り込んでいく上で佐川急便がターゲットのひとつにしているのは、ご当地グルメ商材や生鮮などの産直通販。地方の生産者などが通販を手掛けるケースが増えているが、同社では鮮度が求められる商材は自社の強みを活かせると見ている。

 佐川急便では、ニチレイ(現ニチレイロジグループ)と提携し、1999年3月から冷凍・冷蔵サービスの「飛脚クール便」を展開。2010年3月期の取扱個数は前期比13・4%増の3749万5000個と2桁の伸長だった。強みは、低温物流の設備とノウハウを持つニチレイと連携した展開。庫内での荷物の積み替えなど温度管理を徹底しており、サービス品質維持の面でも、ダミーの荷物の中に温度計を入れ、全国の営業店に発送するという試みを実施。同社のクール便は2~10℃で温度管理を行っているが、この試みでは、ドライバーの集荷から集荷地域の営業店、幹線輸送と荷物が届くまでの各行程の温度を計測し、予め設定した温度を超えた場合には、オペレーション等の問題点を洗い出し、解決策を講じるという取り組みを常に行っている。

 温度管理の徹底については「宅配便業界でもナンバーワンだと思う」(同)とする同社。サービス品質には絶対的な自信があるようだ。

 一方、商品の鮮度維持を考えた場合、顧客に商品を届けるまでのリードタイム短縮もポイントになるが、これについては航空便の活用を計画する。

 これまでにも、案件によっては航空便を活用した即日配送を行っていたが、ご当地グルメや生鮮品の産直通販などの利用拡大に伴い、「(遠距離から発送される商品のリードタイム短縮に対する)ニーズが高くなってきている」(同)と判断。即日配送を定番のサービスメニューとして提供するためのインフラを構築することにした。

 詳細はまだ決まっていないが、まず一大消費地である東京23区向けに航空便と陸送を組み合わせたネットワークを構築。23区を中心とした首都圏で九州や北海道から発送される商品の即日配送体制を確立させ、他地域にも展開を広げていく考えだ。今期中に即日配送サービスをスタートさせる意向で、朝に水揚げした鮮魚などをその日の夕食までに届けられるような展開を構想する。

 ネット販売を中心に通販市場が拡大する中、通販関連荷物の取り込みは宅配便事業者の必須命題。これに対しSGホールディングスグループとしてもデリバリーを手掛ける佐川急便、商品の保管・ピッキング等の佐川グローバルロジスティクス、決済の佐川フィナンシャルといったグループ各社の機能を活用し商品の受注から配達まで通販事業者の業務を支援していく考え。現状、toC対応の基盤構築に乗り出した段階だが、「サービス品質の部分で勝負していく」(同)とする。(おわり)

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