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LTV最大化図る【ハーバー研究所の宮崎一成社長に聞く コロナ禍における成長戦略】 チャネル連携、顧客分析を強化

2022年 2月10日 13:00

 ハーバー研究所は、顧客のロイヤルティ向上によりLTVの最大化を図る。コロナ禍の影響を受けた化粧品市場低迷期における成長戦略について、宮崎一成社長に聞いた。











 ――直近の中間決算(4~9月)は、通販が減収だった。コロナ禍で店舗顧客の誘導などオムニチャネルの強みを活かせていない。

 「店舗数は中間期末で百貨店が49、直営が21。店舗の7割が百貨店で大胆な通販への誘導ができなかった面がある」

 ――課題にどう対処する。

 「これまで販路別にタテ割りの組織構造で横の連携がなかった。今期に組織改編を行い、チャネル別に担当役員を配置していた体制を見直し一本化した。チャネル間の誘導など徐々に風通しはよくなっている」

 ――店舗の来店の状況は。

 「日本人の来店は直近で9割ほど戻ったが、インバウンド需要は落ちている」

 ――出退店の戦略は。

 「インバウンド需要を見越した出店の見直しはあるが、宣伝効果、その地域の需要を含め立地を見極め展開する。店舗スタッフには、研修や休眠顧客へのアプローチを進めてもらうなど雇用は維持する」

 ――通販への誘導策は。

 「店舗から手書きDMや電話による通販の提案、オンラインカウンセリングからも誘導を行っている」

 ――ウェブでの接点構築の取り組みは。

 「昨年4月からオンライン上での美容講座を始めた。参加者としっかりコミュニケーションをとるには数十人が限界だが、キャンセル待ちがでるまで人気がでてきた。会員、非会員問わず参加でき新たな接点になっているため育てていきたい」

 ――通販は新規客、稼働客ともに減少が続く。

 「新規客はコロナ禍の市場低迷、通販参入企業の増加、また今期は、オリンピック・パラリンピック開催で広告出稿枠を十分確保できないことが影響した。新規客の獲得も重要だが、基本方針としてはロイヤルティの向上を図り、LTV最大化に向けた取り組みを進める。主な化粧品、健康食品は定期購入を利用できる。内外美容の提案による購入単価の向上、定期の提案で安定的な収益のベースを作りたい」

 ――ロイヤルティ向上に向けた取り組みは。

 「顧客は、年間購入金額によるステージ制を採用している。これまで一律に限定品の販売等の特典を付与していたが、優良顧客の優遇策を強化する。また、顧客に寄り添えていなかったとの反省もあり、休眠顧客の分析も行っている。離脱の背景には、間違った使用方法や店舗が遠方であること、コロナ禍などさまざまな理由がある。個々の顧客に応じた提案を行っていく」

 「また、化粧品はこれまで『スクワラン』の一点押しで、ほかの商品を印象づける努力をしてこなかった。初回限定の『スクワラン美容おためしセット』も、スクワラン以外の商品は少量のラミネートサンプルを提供していたが、ミニボトルに変更し、1週間程度じっくり使ってもらう仕様に変えた。10月から一部媒体でスタートしているが2月から全媒体で展開する。商品設計や離脱背景、接点構築など多面的な分析で戦略の見直しを進めている」


 ――インバウンド消失への対応は。

 「インバウンドで証明されたように、海外に確実にニーズはある。海外で商品価値を伝えるのは現地の販売員であり、海外の販売代理店、卸先などBtoB領域でもオンラインセミナーを積極的に開催して商品知識、ブランドの世界観を説明している。消費者の多様性に合わせた提案をせず、ただ売るだけではLTVは向上していかないと考えている」

 ――海外事業の通期見通しは。

 「19年に香港の大規模デモ、コロナ禍を受けた落ち込みの反動増もあり、今期は40~50%増の見通しだ。ただ、メインは8割を占める中国。化粧品の法規制対応もあり、来年以降も継続して伸ばせるかは不透明な部分がある」

 ――総売上高に占める健食の売上構成は約18%。中長期的に全体の3割を目指している。

 「健食は継続的な利用で実感が得られることから定期の利用意向も強い。その意味でも健食事業の強化は不可欠になる。1月末以降、機能性表示食品を順次発売する予定で、新商品の開発も進めている」

 ――構成比向上に向けた進捗は。

 「これまで健食を入口商品としたことはなかった。今期から腸活に役立つトクホ飲料『オリゴワン飲料』で広告出稿を始めた。初回は50~60代を中心に想定を上回る獲得が進んでいる。リピートにつなげていくことが重要だ」

 「免疫細胞の7割は腸にあり、精神の安定に関わる幸せホルモンのセロトニンの約9割が腸内で作られているとの報告がある。整腸は美容・健康の両面でベースになり、内外美容の提案の中で継続を促していきたい」


 
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