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顧客接点のデジタル化を推進【千趣会の梶原社長に聞く 前期の総括と今期の戦略は?㊦】 オリジナル商品に販促費を集中

2023年 4月 6日 11:00

 前号に引き続き、千趣会の梶原健司社長(=顔写真)に今期の戦略を聞いた。

 ――今期は通販事業を含めた黒字化を掲げている。

 「黒字化に向けたポイントになると思うが、レギュラー会員と新規会員の層は年々、カタログのレスポンスが落ちている。カタログを欲するお客様とそうでないお客様がいるので、昨年はカタログ配布でテストを繰り返した。今期は接点作りをカタログからSNSを中心としたデジタルプロモーションに移す」

 「新規会員とレギュラー会員の方々にはデジタル上の接点から購入してもらい、2回目、3回目の購入につなげていく。その際、LINEなどを活用してリーチするシナリオ作りを強化している」


 ――利用者の生活スタイルに合わせることが大事になりそうだ。

 「当社は妊娠・出産期から子育て中のお客様が多く、そういったお客様はゆっくりカタログを見るというよりは、空き時間にスマホで素早く閲覧する割合が高いので、タイムリーさも含めて当該層にフックする商品をどのように訴求するか、ランディングページのあり方と併せて顧客起点で変えていく」

 ――通販サイトの見せ方は。

 「『ベルメゾンネット』では商品詳細ページの画像にカタログ用の写真を流用している部分もあるが、それではオープンマーケットでは戦えない。カタログは情緒的な部分を大事にしているので、1枚の写真でフックさせるECの作法を見習って、商品詳細ページのリッチ化には昨年から取り組んでいる」

 ――カタログとは言葉の選び方も変わってくる。

 「子会社のセンシュカイメイクコーがECマーケティングのノウハウを蓄積し、商品ごとにECで的確にヒットするような表現、コピーに変えている。集客力が増してオープンの場で戦えるようになってきていると思う」

 ――そのほか、黒字化への取り組みは。

 「徐々に商品型数を絞り込んでいく。従来から思いのこもった、差別化された商品を軸に売り上げが立っているし、オリジナル商品が支持されているので、原価率の精査も含めて品ぞろえを見直す」

 「併せて、これまで以上にお客様の価値観やライフスタイルを理解することで、愛着を持って長く使って頂ける商品の開発を強化する。昨年はシステムトラブルによって事前に発注していた商品が在庫として積み上がり、バーゲン販売を増やさざるを得なかったことを踏まえ、発注のあり方も調整したい」


 ――販促費のかけ方も変わってくる。

 「型数を絞りながら、ベルメゾンのメインとなる商品にプロモーションを集中させる。センシュカイメイクコーが中心となって、ROASやCPAなどを考慮しながら効果的にECのプロモーションを実施する」

 ――カタログの配布部数は。

 「今年の春号から減らすが、とくに新規獲得面で苦戦しているお盆明け後の秋号での削減を計画している」

 ――ベルメゾンで強化する商品群は。

 「妊娠・出産、子育て領域の商品カテゴリーは間違いなく強化していく。提携して今年で30年を迎えるウォルト・ディズニー・ジャパンさんとの取り組みもそうだ。当社が国内でディズニーキャラクターのオリジナル商品を作れるという形で提携している。親会社のウォルト・ディズニー・カンパニーさんは今年生誕100年なので、イベントも含めて打ち出しを強めていく予定だ」

 ――そのほかは。

 「『花笑むとき』というカタログを軸に展開しているシニア領域も力を注いでいきたいし、フェムテックについても女性に寄り添ってきた会社として、一人ひとりが輝けるようにサポートしたい。外部の知見を頂き、提携なども含めて世の中に貢献し、社会課題を解決していきたい」

 ――販売面は。

 「ベルメゾンという通販事業全体のブランディングは実施しているが、もっと商品ごとのブランディングを見直して、当社のECやカタログだけではなく、外部ECモールなどでの展開や海外市場に出ていくことも考えている。現在、中国市場は上海の子会社が『タオバオ』で販売しているが、強い商品群、ブランドができれば、東南アジアなども候補にECチャネルで攻めていきたい」

 ――JR東日本との協業については。

 「『ディズニー ファンタジー ショップバイ ベルメゾン』をJR東京駅構内で展開し好評だが、『ディズニー ファンタジー ショップ』以外でも大きな塊として出店したい。両社の取り組みはリアル店舗とECチャネルで訴求できる強みがある」

 ――オークネットとの商品買取サービスを本格化した。

 「『キマワリ』については、サービスをご利用頂いたお客様の継続率が飛躍的に改善するといったトライアルの結果を受けて、昨年11月に本格始動した。いまはファッション商材を対象にしているが、今後は買取対象商品の拡大など取り組みを加速する」

 ――サステナビリティへの関心が高いユーザーが多い。

 「その通りだ。『キマワリ』利用者の高い買い物継続率だけでなく、ベルメゾンでの購入頻度や購入単価が上るという効果もあって、ロイヤリティに結びついていると感じる。この取り組みは思っていた以上に効果が出そうだ」

 ――独自の共創モデルの確立を目指している。

 「JR東日本さんとの提携や『キマワリ』、JFLAホールディングスさんとのワインやグルメをはじめとしたEC事業も含めて、異なる2社の組み合わせによっていろいろな可能性を見出せると思っている。顧客資産やビジネスアセット、フルフィルメントを活用して、理念が合う取引先と協業をさせて頂きながら、社会貢献につながる事業を展開していきたい」(おわり)

 
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