「大川市と地方活性化事業も」【タンスのゲン・橋爪裕和社長に聞く 家具ECの成長戦略②】 実店舗は開設の予定なし
2023年 4月27日 12:00
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――海外事業は中国が中心なのか。
「今のところは中国、あとは最近開始したアメリカ向けだ。現地の仮想モールに出店し、商品を販売する形となる。中国では、現地で生産した商品を販売しているほか、日本から羽毛布団などの日本製商品を輸入して売っている」
――販売する国は増やしていくのか。
「国ごとにマーケットやGDPを見ながら、チャンスがありそうな国に進出していく」
――海外で家具ECを成功させるためのコツは。
「試行錯誤している段階だ。中国には5~6年前に進出したが、日本と同じような売り方では全然結果が出なかった。現地のマーケットや商流をしっかりと調べないと通用しないことが分かった。中国はようやくベースができてきた感じで、何となくではあるが、効果的な販売方法が分かってきた」
――家具やインテリア以外の新たな商品ジャンルへの参入は。
「適宜、良さそうなジャンルがあれば取り組みたいと思っている」
――カスタマサポートや物流での新たな取り組みは。
「カスタマサポートに関しては、顧客との時間を多く保てるように、システム部分での自動化をさらに進めていきたい。物流は、注文があってからできるだけ早く届けられるように、拠点を増やしていく」
――現在は大川市から出荷しているのか。
「半分くらいは大川市から出荷しており、関東にも3PL会社に委託して2拠点から出荷している。関西にも拠点を持つ必要が出てくるかもしれないので、顧客のニーズにあわせて柔軟に対応していきたい」
――「大川を、世界のインテリアバレーに」というコーポレートメッセージを掲げている。
「大川市で創業して約60年が経つが、大川市は当社が婚礼家具メーカーだった時期が最も賑わっていた。その頃は人口が5~6万人いたものが、現在は4万人を切るまでになってしまい、若い人も少なくなっている。行政とタッグを組みながら、地方活性化につながる事業にも取り組んでいる」
――SNSを活用した販促には取り組んでいるのか。
「さまざまな分野で知識やセンスを持っている有名人のパートナーと組んで商品を開発する『タンスのゲン公式アンバサダー』制度を設けている。商品開発にストーリー性を持たせ、インフルエンサーにそのストーリーを語ってもらいながら、共感を持って買ってもらうのが狙いだ」
――将来の株式上場は考えているのか。
「全く考えていない」
――2023年7月期の業績予想は。また、アフターコロナの戦略についても教えてほしい。
「コロナ禍で売り上げが大きく伸びたときの数字と戦っていることもあり、足元の数字は厳しい。前期比でいうとトントンというところ。アフターコロナといっても、商品展開を大きく転換することはなく、インフルエンサーを使った販促などで、今まで当社を知らなかった消費者にリーチし、売り上げにつなげていく」
――その他、今後の目標などは。
「まずは人材育成に注力しながら、国内売り上げに関して、販路を拡大しながら増やしていき、海外販売に注力していくのが今後の取り組みになる。国内はECが基本となるが、チャンスがあれば他の販路にも取り組みたい」
――近年はO2OやOMOが脚光を浴びている。実店舗を設ける予定はあるか。
「婚礼家具メーカーから転換を図った際に、店舗を設けていた時期もあったが、問題になったのは固定費。ECは販売効率が良いので、O2O的なことをやる予定はない」(おわり)