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「適格消費者団体と同じ」【「論文評価委」の短慮④】 評価公表「脅迫に近い」

2023年 6月 1日 12:00

 ウェルネスニュースグループ(=WNG)が事務局を務める「機能性表示食品『届出論文』評価委員会」は、企業と協調的な交渉を前提に、評価結果を公表することを強調する。企業にそれはどう映るか。

 評価委は、論文の評価結果について、問題があると判断した場合、WNGの会員限定ページで公開する。深刻な疑義がある場合、消費者庁への通報、同社が運営するニュースサイト「ウェルネスデイリーニュース」で広く公開する。

 公開の必要性や理由を尋ねた質問は、メディアで公開した「評価委員会発足の経緯」で回答した。「問題があると思われる論文」を第三者であるWNG会員に限定公開する必要性は、「WNG会員の会費により運営する方式であるため」、「深刻な疑義がある論文」をメディアで公開する必要性は、「重大な疑義があり、しかも届出企業の対応が不適切であるため」とする。

 限定公開の理由は、「委員会評価に適切に対応いただければ、届出資料の改善という目的は達成されるのであり、企業に不利な情報を公開する必要性は感じないからです」と企業と協調的に交渉すると強調する。

 ただ、これは公開の是非に対する解になっていない。届出の改善が目的であれば、第三者である会員にすら公表の必要性はないからだ。業界関係者からは「公開する、消費者庁に言うとなれば圧力を感じ付き合いを考える。メディアと評価委の利害は一致しており結局のところビジネスにもプラス。巧妙なやり方」(WNG講読会員)、「脅迫に近い」(別の購読会員)といった声が聞かれる。

 一方で、自らの情報公開には消極的だ。利益相反の懸念がある観点から、学術顧問、評価委委員長としての自らの報酬額を尋ねた質問には「社会的常識の範囲」と答えるのみ。委員への報酬額も「利益相反に配慮しなければならないので公表できないが社会常識からみても少額」(WNG)、「わずかな額」(唐木氏)と、公開していない。利益相反を意識するのであれば、むしろ公開により懸念を払しょくすべきだろう。

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 その手法は、企業への差止請求権を持つ適格消費者団体によく似ている。

 「申入れの内容、これに対する回答の有無、回答内容、経緯については、当団体ホームページ、その他適宜の方法により公表させていただくことがあります」。適格団体は権限行使にあたり、こう決まり文句を述べ、企業の対応を公開、評価する。要請自体の妥当性に外部の監視は働かず、独善的な解釈で権限は運用される。

 適格団体の一つ、消費者被害防止ネットワーク東海は昨年3月、差止請求訴訟をめぐり最高裁で敗訴した。だが、企業の「レピュテーションに大きな損害を受けた」との声を省みず、判決を「消費者保護に反する不当な判断」と軽んじ、「当団体の取組みによって一定の成果が得られた」と自己弁護する姿勢にそのことはよく表れている。

 評価委、WNGはどうか。信念や主張は自由だが、そこには等価の責任が必要だ。見解の相違が生じる蓋然性が高い「科学の質」の評価を一方的公開する影響について、評価委、WNGは明確に回答していない。”限定”公開する評価結果が漏えいした場合、当該企業に対する責任はどう果たすのか。

 公開の姿勢は、その行動に表れている。今年4月、当社が送った質問書は、公開の可否についてなんら確認なく公開された。そこに報道機関が果たすべき最低限の仁義はない。

 前出関係者は「一方的に公開すると主導権を握るやり方は適格団体と同じ。一方で自らに都合の悪いことは公表も評価もしない」、行政関係者は、「議事録、委員名、報酬額も公表しない。外部の監視が働かない状況で公平性は担保できない」と指摘する。(つづく)
 
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