awoo AIが“売れるハッシュタグ”を自動生成 回遊率や購入率などを向上へ
2023年 7月10日 10:00
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台湾で起業した同社は2020年8月、日本でも本格的に「アウーエーアイ」のサービス提供を開始。3年間で国内の導入企業数は約100社となり、そのカテゴリーはファッションやコスメ、玩具、食品、雑貨、リユース品など幅広い。
ハッシュタグのメリットは、通販サイトで商品を探すときの顧客ニーズを言語化できるほか、ハッシュタグがあることで商品が探しやすくなる点にある。
例えば、バッグメーカーのサイトでビジネス用のリュックを探す際、ユーザーはリュックの容量や撥水性、耐久性、PC収納といった機能やスペックで商品を選ぶが、パッと見ただけでは各商品の特徴は分かりづらい。そこで、「#PC対応 リュック」「#メッシュ 通気性」「#日本製 リュック」などのタグを付けることで、商品の特徴やセールスポイントを分かりやすく言語化できる。
また、同じような機能がある他の商品を見たい場合、通常はカテゴリーに戻って絞り込み直したり、検索ボックスにキーワードを入力したりするが、とくにスマホサイトの場合は文字入力の手間もあって面倒だ。
そこで、例えば「#PC対応リュック」のタグをクリックすると、関連タグの付いた商品が一覧表示されるため、デザインや素材、価格などを比較しながら探しやすくなる。
コスメの場合でも、例えば「#ボディケア 保湿」といったタグをクリックすると、ボディーソープやハンドクリーム、ヘアミストなどカテゴリーを横断してキーワードに関連する商品群にアクセスできるため、「保湿したい」というニーズに対してカテゴリー横断で提案できる。
「カテゴリーを意識せずにユーザーの悩みに応える提案が行えるのは、リアル店舗の接客に似ている」(遠藤光一VP of Sales)とする。
目的買いのユーザーであれば商品名やキーワード検索、カテゴリー検索で探した方が早いが、悩みを解決するアイテムを探しているような場合はタグ検索が有効で、思わぬ商品との出会いがあったり、人気の商品ばかりでなく、ロングテールの商材にも光が当たったりする。
クッキーレス時代のツール
「アウーエーアイ」は個人情報やクッキー情報を使わないソリューションで、導入先から商品データを提供してもらい、商品タイトルやブランド名、カテゴリーを識別する値(パンくず)、商品ディスクリプションといった情報を厳選し、自然言語処理を軸にしたAIが各商品の特徴を理解して、キーワードを言語化する。
カテゴリーや特徴、素材、カラーなどの商品情報の中からAIが商品の特徴を示すキーワードをピックアップ。その上で、ロングテールキーワードで幅広い潜在ニーズに刺さるタグを自動生成する。
ロングテールのキーワードを作るため、候補は何万通りにも上るが、その中からどんなタグがユーザーフレンドリーかを判断するために、AIはサイト内外のトレンドキーワードを学習している。また、タグをクリックした先に複数の商品があるかを把握した上でタグを生成する。外部のトレンドワードが変わったときは生成するタグも変化する。
一方、タグの最適化、チューニングはAIが行うものの、品質を向上させるために、awooの専任チームが手動対応も行う。ブランドが推したいキーワードを追加したり、NGワードの設定も可能で、化粧品では薬機法をAIに事前学習させる。「人のアイデアとAIを併用することで費用対効果はより高まる」(遠藤氏)という。
タグの配置場所については、導入サイトの充実で〝勝ちパターン〟が見えているという。トップページには、検索サイトやSNSの急上昇ワードのようにトレンドなど気づきを提供できるタグを盛り込む。
トップページ以外にもカテゴリーページや商品ページ、カート、お気に入りページにもタグを設置可能だ。基本的に階層の浅いページではトレンドを伝え、特定の商品ページでは、当該商品のどこが気になったかをタグで触ってもらい、そこからカテゴリーをまたいだ商品もチェックしてもらうのが効果的だ。
オプション機能としては、テキスト形式のハッシュタグをサムネイル化して画像レコメンドとして利用できるほか、簡易的なポップアップ画面におすすめ商品を表示することもできる。
同社によると、サイト集客後のUI・UXの改善は永遠の課題で、「購入率を高めるツールにも投資する会社は多い。一般的なサイト内改善ツールに頭打ち感がある中でハッシュタグ検索への関心は高まっていると感じる」(遠藤氏)とする。
これまでの国内における実績値として、「アウーエーアイ」導入サイトの回遊率が平均4・0倍(最高8・3倍)、滞在時間が6.0倍(最高9.1倍)、コンバージョン率が3.0倍(最高11.5倍)、離脱率は75%減(最大88%減)、直帰率が81%減(最大97%減)といった効果が得られているという。
今後は、国内導入企業の拡大を目指すのに加え、現状の通販サイトだけでなく、リアル店舗での活用も模索していくほか、台湾と日本以外の海外展開も視野にあるようだ。