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実質的な力は「上向き」【小川吉宏社長に聞く ショップチャンネルの現状とこれから㊤】 広告抑制で減収も挑戦は進捗

2023年 7月13日 12:00

 通販専門放送を行うジュピターショップチャンネルの2023年3月期決算は減収増益で着地した。販管費削減のためにここ数年、新規顧客獲得のために積極化していたテレビや新聞への広告出稿を抑制した影響で売上高は前年実績にわずかに届かなかったものの、前年は苦戦した衣料品などのファッション関連商品の売れ行きが復調するなど堅調に推移したようだ。小川吉宏社長に現状と今期以降の方向性について聞いた。









 ――前期(2023年3月)は減収増益(※売上高は前年比1・1%減の1555億3800万円、営業利益は同6・9%増の190億5400万円、経常利益は同6・7%増の194億3600万円、当期純利益は同0・8%減の135億6100万円)だった。

 「特別編成の特番の際などに合わせて、積極的に投下していた新聞広告やインフォマーシャルの出稿について、当期から費用対効果のよいものに絞ったことで増益に寄与した一方で、売上高は前年実績に少し届かなかったものの、手ごたえは感じている。前々期(22年3月)が減収減益と振るわなかったが背景には過去の実績に基づいた実績ある商品や番組をベースに計画・進行することが当たり前となり、商品と番組の新鮮味が不足し、お客様の期待に応えられなかったことがある。これを反省し前期は様々な挑戦をして変革を進めた。実質的な力は上向いてきている。社員の努力に感謝した1年だった」

 ――前年は苦戦した主力ジャンルの1つであるファッション商材の売れ行きは。

 「好調だ。様々な挑戦が実を結んできた。例えばファッション関連商品に特化した常設のスタジオを作ったことだ。これまではファッションでも食品でも家電でも同じスタジオで撮影し、見せ方もある程度、フォーマットが決まっていた。ただ、特にファッションは商品の特徴を分かりやすくかつ魅力的に伝えるためには奥行や陰影、モデルの動きも出したい。そのため、ランウェイを設けたスタジオをファッション用に固定してカメラワークも動きのあるものに変えた。また、特別編成で1日中ファッションアイテムだけを特別価格で紹介する『ファッションデー』というものを年に何度か放送している。これまでは各番組は独立していたが、ある共通のコンセプトを持ってお客様に楽しんで頂けるようにできないかと考えて、例えばこの時間帯は50年代、60年代など年代ごとのテイストの商品を紹介するような形などの編成を行ってみた。これまでは共通コンセプトを設けた形ではやってこなかったがまずは実績はある程度、度外視してもよいので、やってみようと。さらにこれまで過去の実績から平日のみに実施していた『ファッションデー』をお客様のライフスタイルの多様性を考えて初めて土日など週末にも放送してみた。今年1月からは通販サイトで番組に出演するメーカー担当者や司会者のほか、社員が当社で販売する商品を使ったコーディネート画像を紹介、提案するコンテンツ『ショップチャンネルピープル』を開始した。お客様からは自身の体型や好みに合ったコーディネートを参考にでき、着用イメージの確認やサイズ選びなどに役立てられると評価も上々だ。こうした施策などファッション関連商品を紹介する番組の視聴が明らかに増え、売れ行きも下期から確実に上向きになってきた。過去の成功をそのまま踏襲せず、あえて崩していくこともまったく厭わなくなった」

 ――他ジャンルの商材の売れ行きは。

 「家電はコロナ禍による巣ごもりで買い替えが一周したようで動きは戻っていない。食品は堅調だ。最も好調なのは化粧品や健康食品だ。一昨年から一部の番組で画面上にQRコードを表示して、お客様がスマートフォンで読み取ると簡単に番組にメッセージを送れ、番組の画面にそのメッセージが表示されるという試みを開始しているが、前期はそれが定着し、お客様とのエンゲージメントが高まったことや、当社はスキンケアはもともと売れ行きがよいがメイク関連もコロナが落ち着き、外出が増えたことで下期から伸びてきたことも大きい」(つづく)

 
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