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ゾゾ 最大の物流拠点稼働、100億円投資し自動化、3割の省人化

2023年11月 2日 12:00

 ZOZOが11月1日から、茨城・つくば市内の新設した同社最大規模の物流拠点「ZOZOBASEつくば3」の稼働を開始した。約100億円を投資し、国内初導入という高速商品仕分け機「ポケットソーター」をはじめとする各種の最新鋭の設備を導入。自動化を進めて作業効率を高め、従来の拠点に比べ3割の省人化が図れるという。物流の24年問題や今後の人手不足などを見据えて同拠点を含む物流拠点全体の自動化、省人化を今後も進めていく考え。
 




 「ZOZOBASEつくば3」(所在地・つくば市御幸が丘34)は同社の5拠点目の物流拠点でつくば市内では3拠点目。同拠点の稼働で同社の物流拠点全体での保管能力は1・3倍となるという。「つくば3」は地上5階建ての施設で延べ床面積は約13万7000平方メートルとなる。

 5階には「t‐Sort(tソート)」と呼ばれる商品仕分けロボットを約500台導入。入荷商品を検品後に種類ごとに保管するために数十種類に仕分けする必要があるが、従来拠点ではシールの印字情報から庫内スタッフが目視で行っている作業を、同拠点ではスタッフが検品済み商品を「tソート」に乗せるだけで内臓チップをもとにロボットが目的の箱を目指して移動し、商品を当該箱に入れて仕分けを行うもの。仕分け能力は毎時3万2000点という。これにより熟練スタッフでなくとも効率的な仕分け作業が可能になり標準化、効率化に寄与しているという。

 「tソート」で仕分けされベルトコンベアに乗って商品保管庫に在庫された商品は受注に応じてピッキングされ、2階の「シャトル&サーバー」に運ばれる。ここでは配送日の早い順など発送時期に応じて複数のグループに分けた商品群の一次保管(保管可能商品数は約8万点。コンテナ数ベースでは約5000)と、その発送時期に合わせて優先順位の高いグループを適切なタイミングで梱包作業ができるよう適切な量のコンテナを順次、出荷エリアへ送り出す。なお、毎時の入出荷数は2100コンテナの能力があるという。

 「シャトル&サーバ」から1階に送り出された商品は庫内スタッフが「Pocket Sorter(ポケットソーター)」と呼ばれるレールに吊り下げられた大きな袋に1点ずつ投入する。商品を入れられたポケットは再びレールに沿って梱包エリアまで運ばれていくが、1人の顧客が購入した商品を効率的にまとめて梱包できるよう、レールを進みながらバッファーエリアで順番を入れ替えて荷合わせ、最終的に当該顧客が注文した商品すべてが梱包作業者の手元にそろった状態で到着する仕組みとなる。仕分け能力は毎時1万5000点だという。この作業も従来拠点では手作業で行われていたが、「ポケットソーター」は自動的に荷合わせを行うため、作業負担は大きく改善するようで「ポケットソーターが省人化に最も効果があった」(同社)とする。なお、複数品ではなく単品受注の場合は、「ポケットソーター」を経由せず梱包エリアに直接、送り出されるという。

 それらの工程を経て、商品は人の手で箱つめされるが、段ボールに封をしたり、伝票を貼る工程は自動封函機、オートラベラーによって自動化している。

 同社によると「つくば3」の出荷能力は1時間あたり、約1万件と既存拠点に比べて同等程度となるが、既存拠点の約4倍となる100億円を投資して自動化を進め、既存拠点と比べ30%の省人化を図れるという。洋服や靴、コスメなど様々な商品を取り扱うために自動化は難しいとされていたゾゾが「つくば3」で最新設備や独自ノウハウで高度自動化に成功したことで、残り4カ所の既存物流拠点にも「ポケットソーター」をはじめとした最新設備などを設置していく意向。また、ピッキング等の現状、人手を介する各種作業も自動化を検討中としており、さらに省人化を進めていく考え。




自動化をさらに推進へ、他拠点への「ポケットソーター」導入も


<田代執行役員に聞く ZOZOの物流の今後は>

 「ZOZOBASEつくば3」の特徴やZOZOの今後の物流の方向性などについて、同社のフルフィルメント本部を管掌する田代将広執行役員(=写真)ら物流部門の責任者に聞いた。(10月25日開催の報道向け見学会での説明や報道陣との一問一答から要約・抜粋)

                        ◇

 ――「つくば3」の稼働でどの程度の規模までカバーできるのか。

 「どの程度の流通総額まで対応できるかは言えないが、『つくば3』を立ち上げる際には当然、数年先までを見据えてシミュレーションしてキャパシティを作っている」

 ――「つくば3」の投資額は約100億円とのことだが、特にどの部分に費用を投じたか。

 「最も大きいのは『ポケットソーター』だ」

 ――「つくば3」では最新設備の導入で自動化を図っているが、ソフト面など自社で工夫した点はあるか。

 「拠点で使用しているWMS(倉庫管理システム)は自社で開発している。既存のWMSを使うと、それに合わせた作業をする必要があるが、自社開発することで作業にあわせたWMSとなり、作業効率がソフトウェア上でも高めることができる。庫内のレイアウトに関しても、これまでの実績の生産性の数値を使って落とし込んで適正なものを設計できている」

 ――「ポケットソーター」は今後、導入する企業は増えていくのか。

 「国内の導入は当社が初めてだが、欧州では導入実績があり、例えば、ドイツのアパレルEC『ザランド』ではすでに活用されている。非常に多くの品目を取り扱っており、それを荷合わせしてお客様のもとに届けるという当社の事業にはマッチした設備であるといえる。そういった事業を行う企業にはマッチするのではないかと思う」

 ――「つくば3」は自動化を進めたが、商品のピッキングなどは人の手で行っている。ここもロボットアームで行うなどさらに自動化、効率化を進める考えは。

 「ロボットアームの導入は検討している」

 ――既存物流拠点を自動化、省人化していく計画は。

 「具体的な時期は決まっていないが『つくば3』に導入して省人化効果の高い『ポケットソーター』を出荷設備のある既存拠点の中で導入可能なところには積極的に導入していこうと考えている。一方で導入できない施設には別のソリューションの導入を検討していく」

 ――つくば市に物流拠点を固めている理由について人材採用の観点からも都合がよいとのことだったが、習志野市と比べてどうか。

 「つくばのほうが採用面では順調だ。茨城県と千葉県の最低賃金に違いがあるが、つくば市でも習志野市でも同等の時給に設定していることから、時給の優位性があるためだ。また、車で通勤する方が多いが、敷地内外に駐車場を準備しており、通勤の利便性も高く、働きやすい環境が整っているのではないか」

 ――物流の24年問題への取り組みは。

 「ヤマト運輸と協力し合いながら効率化を進めていく一方、具体的なことは言えないが、今までのお届けの仕方ではなく、『もう少しゆっくり届けてもいいよ』というお客様へそのような配送ができるよう検討している。そのため、どうすれば『ゆっくり届ける』という選択をしていただけるかを考えており、例えばグループのアスクルでは実際になど『ゆっくり届ける』という配送を選択できるようにしている実績もある。そのあたりも参考にしながら当社でも仕組みを設計していきたい」

 
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