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スクロール360 EC企業の“危機”に対応、土日祝対応プラン、受注処理を代行

2023年12月 7日 12:00

 スクロール子会社でソリューション事業を手がけるスクロール360では10月より、大手仮想モールが打ち出している、配送品質が高い出店者を優遇する制度に対応可能な受注処理代行サービス「土日祝対応プラン」の提供を開始している。

 サービス開始のきっかけは、昨年1月に楽天市場が「配送品質向上制度」の導入を発表したことだ。店舗が同制度に対応すると、仮想モール内における商品検索順位が向上したり、商品一覧ページにおいてラベルが表示されたりといった優遇措置が適用されるというもので、「配送リードタイム(配送スピード)の短縮」や「土日祝日も含めた365日配送」への対応が求められている。

 ソリューション戦略部EC―BPO課の山本雄一課長代行は「制度導入が発表されてすぐ、EC企業から新規の相談がかなり来た。制度に対して何かしらアクションを起こさないとまずいという危機感の表れと感じた」と振り返る。

 楽天からは当初、「ラベルを取得するには土日祝日を含めて365日出荷対応が必要」とアナウンスがあった。その後、年末年始(12月31日~1月3日)と月1回の休業は認めることになったものの、そもそも土日出荷に対応していないEC企業は少なくない。

 ソリューション戦略部の黒崎裕子部長は「『送料無料ライン』の導入が発表されたときも賛否両論あったが、結局ほとんどの店舗が導入している。それは、大型セール時に、同制度に対応した店舗のポイントを2倍にするといった優遇施策を楽天が行ったことも大きいと思う。恐らく、今回も『施策に対応すると一定の優遇措置があるのでは』と出店店舗は予想しているのではないか」と推測する。

 スクロール360の「土日祝対応プラン」では、自社リソースへ負担をかけることなく、土日祝日の出荷場連携が可能になる。EC企業が利用している受注管理システムにおいて、新たに専用アカウントを発行するというやり方だ。平日は今の運用のまま、土日祝日だけ同社に任せることもできるため、低コストで試験運用したいといった要望にも応えられるという。

 黒崎部長は「土日出荷するためには、業務フロー自体を見直さなければいけない会社が多いのは事実。店舗目線でいえばこれは大変なこと」としながらも、「消費者からすると『今日注文したら明日届く』のが当たり前になっている。また、楽天市場であれば、注文の集中する『5と0のつく日』が大型セール中の金曜日や土曜日にぶつかることもあるわけで、消費者は『土日に出荷してくれる』ことを前提で購入しているのではないか」と指摘する。

 同社はECサポート業務を一気通貫で提供しているが、今回のサービスに関しては「受注処理にスポットを当てているので、倉庫は当社でなくとも構わない」(黒崎部長)という。土日を完全休業としているEC企業も少なくないことから、人手が必要となる受注処理を代行することで、EC企業の需要に対応する。

 その上でEC企業は、楽天が出店者の物流業務を請け負う「楽天スーパーロジスティクス」など、365日出荷が可能な物流センターを探す必要がある。スクロール360でも土日祝出荷に対応していることから、「受注処理を受託することが物流代行事業の拡大にもつながるのではないか」(黒崎部長)とする。
 
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