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JR東日本商事 鉄道ファン4分類でMD、子供からコア向けまで多彩に

2024年 1月11日 12:00

 JR東日本商事では、通販事業において鉄道関連グッズを軸としたオリジナル商品の販売が伸びている。上期(4~9月)は前年越えとなっており、中でもターゲット層を4分類して、それぞれの層にマッチした商品を開発するMD施策が奏功。いくつかのヒット商品が誕生している。

 同社では、JR東日本が運営する仮想モール「JRE MALL」において商材ごとに特化した専門店を出店。上期についてはコロナの5類移行に伴い、リアルでの商流が活発化したことで、食品や生鮮品についてはECが苦戦した一方、実店舗では好調に推移。また、同モール内で提供しているふるさと納税の需要も拡大していることから、地域からの産地直送食品や酒類などについては影響を受けたと見ている。

 一方で、大きく伸ばしたのがオリジナルの鉄道グッズや雑貨類。もともと強みを持っていたカテゴリーだったが、今期は鉄道グッズのターゲットを「コアファン」、「ライトファン」、「子供向け」、「キャラクターファン」と4分類したマーケティング施策を行ったことも奏功した。

 まず、コア向けでは、JR東日本の実際の車両を用いて収録した高精細の映像と走行音により、リアルな運転操作を体験できるPC用鉄道運転シミュレータ「JR東日本トレインシミュレータ」向けに発売した「運転士スターターキット」(画像)がある。乗務員室の座席と同一の生地素材を使用したクッションや、白ナイロン手袋、行路票、乗務日誌の4点をセットにしたもので、こだわりの強さを細かく訴求することができるECにマッチした商材となり、非常に好調だった。

 加えて、前年に続いてJR東日本の社員が撮影した列車のカレンダーも発売。職場でフリーアドレス制が浸透しているということもあり、卓上よりも壁掛けタイプが好評だった。

 ライト向けには、各地の列車がデザインされた日本酒一合缶がヒット。旅行客だけでなく地元顧客などにも売れたようで、従来のビンタイプとは異なり、コストや軽量性でメリットのある缶を素材に活用。缶の充填から販売までを手掛けるAgnaviと組んだことで実現している。

 子供向けには前年に引き続き、Suicaのペンギンをデザインしたお節のオードブルが売れ筋となった。今回はグループ会社で生活情報誌の「オレンジページ」の協力のもと、メニューなどを決定。繰り返し使えるお重本体の人気も見越して、蓋を改良したりレンジ対応にするなどバージョンアップした。500台の予約数がすでに完売している。

 キャラクターファン向けでは、こちらもSuicaのペンギンを軸に商品の横展開に注力。今期から”ご当地グッズ”と銘打って、各地域のコンテンツと掛け合わせたデザインを取りそろえた。まずは、東北と茨城の内容で行っており、温泉やなまはげ、水戸黄門、地域の祭りなどを反映させたデザインで販売。Suicaペンギンファンだけでなく、それぞれの地域にゆかりがある人たちの需要も獲得できた。今後はその他の地域も含めて展開し、シリーズ化することを視野に入れている。

 同社によると鉄道グッズに関しては、まだ購入経験や認知がなくても、顧客になりうる人は相当数市場にいると見ている。これまでは、「駅ナカ」や「限定で販売」などの文脈を重視していたが、コアファン以外の層に対してはそれ以外のアプローチも有効になると判断。デジタルでの接点も活用しながら、東日本だけにこだわらずグッズの認知を広げていき、購入する機会を増やしていく考え。

 「ECはあくまでも小売業なので、商品が最も重要。それも差別化が発揮できるような優位性のあるもの。我々にしか提供できない価値がある商品をしっかりと自ら開発し、開拓することが大切」(笹川俊成取締役本部長)とした。
 
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