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小林製薬 通販事業を強化へ、心身のケアに向け商品・サービス充実

2024年 2月 1日 12:00

 小林製薬が通販事業を強化する。2030年に向けた事業ビジョンを策定。通販事業の名称も変更し、顧客の健康だけでなく、心の豊かさを含めたケアを行う商品・サービスを充実させていく。
 
 「身体と心を整え、健やかで自分らしい暮らしに導く」という事業ビジョンを定めた。2月から事業名称をくらし創造パートナー―あったらいいな通販」に変更する。これまでは、「小林製薬の通信販売」の名称で展開していた。30年の売上計画については、非開示としている。

 通販では、商品の販売だけでなく、特設の相談ダイヤルで薬剤師の専門性を生かした応対による最適な提案やアドバイスを行う。これまでも薬剤師の相談ダイヤルは配置していたが、個々の顧客の生活習慣や購買行動、健康の悩みに関する分析を充実させ、関係性の強化を図る。

 ポイント制度や会員の利用特典など顧客サービスも見直す。これまで製品購入に応じてポイントシールを付与。ポイント数に応じて体重計や血圧計などと交換できる仕組みだった。この制度は1月末で休止。2月から購入金額に応じて会員クラス・ポイント付与率が変わる「ステージ制」を導入して、顧客育成を図っていく。会員クラスは昨年1~12月の購入実績に応じて定める。

 商品政策では、主に流通販路で展開してきた新規漢方薬(第2類医薬品)を扱う。耳鳴りをケアする「ナリピタン」や尿もれケアの「モレナクト」、脂肪症対策の「ナイシトールZ」など4製品を主力に展開。販売動向を検証しつつ、商品の切り替えやラインアップ強化も進める。通販に占める医薬品の売上比率は開示していないが、これまでは健康食品や化粧品が中心だった。

 今後も健食、化粧品は継続して注力するものの、ギフト需要を見込む芳香剤、フラワーシャワー、リードディフューザーなど芳香関連の商品も充実させ、テスト検証を行い顧客の生活や心身の健康に寄り添う。

 サービス面では、22年頃に始めた肌のセラミド分析を通じた化粧品通販を強化する。新規顧客に検査キットを提供し、角質のチェックで2カ月後のセラミド量を比較するもの。使用実感を通じて継続利用を促す。ほかに、食事分析が行えるアプリケーションの提供もすでにテストを開始しており、導入を検討している。

 小林製薬は99年、大阪証券取引所第二部への上場を記念して通販を始めた。22年12月期の国内通販売上高は、前年比6・2%減の84億3900万円(営業利益は同5・6%増の4億2000万円)。今期は第3四半期を終えて、同9・8%減の約56億円と苦戦する。ここ数年90億円前後で推移している。

 社会の変化や顧客ニーズが多様化する中、通販事業を通じて提供する新たな価値を検討。多様なライフスタイルへの対応、セルフケア・マネジメントの意識の高まりへの対応を目的に、心身をケアする「ライフケア」の視点で顧客との関係強化を図る。
 
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