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発送工程を極力削減【デファクトスタンダードの岸上執行役員に聞く 「2024年問題」を考える㊤】 多様な買い取り手法が奏功

2024年 3月14日 12:00

 中古ブランド品の買い取りや販売を手掛けているデファクトスタンダードでは、買い取りで発生する発送工程の削減をはじめ、倉庫現場での業務効率化などに取り組んでいる。近年は物流関連コストの上昇を見据え、海外市場の開拓を進めて利益確保を図るなど、様々な角度から対策を図っている。物流部門の責任者である岸上弘幸執行役員に聞いた。


 





 ――現状の物流オペレーションについて。

 「まず、買い取りに関わるものがあり、大きくは宅配を使ったもの、実店舗での対面、オンラインの3つがある。宅配やオンラインの場合は、査定希望の品物が平和島にある本社兼倉庫に配送されるようになっている。

 宅配買い取りについては2つの手法があり、当社から専用の無料宅配キットを顧客に送って、そこに査定希望の品物を入れて返送してもらう方法と、自宅などにある空き箱を使って送ってもらう方法がある。後者は(片道発送となるため)『ワンウェイ』と呼んでいる。品物が当社に到着した後は査定して顧客に結果を伝える。不成立の場合は無料で品物を返送し、成立した場合は買い取った後にささげの業務を行い、基本的にはEC上で販売して、顧客に出荷する」

 ――実店舗でも買い取りを行っている。

 「今は全国に16店舗あり、そこでは買い取りしてから、商品登録や検品などが終わった後、翌日ごろには平和島に発送する。着荷後はささげを行い、受注が入れば出荷する。

 あとは、海外向けの購入支援サービス事業の委託業務もある。こちらは、海外の顧客が日本のマーケットプレイスを使って購入した後に、中国やアメリカなどの海外に向けて商品を発送する内容。当社の一部倉庫を使って協業で運用している。

 例えば、海外の顧客が(同サービスを通じて)『ヤフーオークション』などで購入した際、落札商品の出荷先は当社の倉庫になる。そこで検品や輸出に向けた手続きの確認、インボイス資料の作成などを行い、海外の顧客に向けて出荷する流れ。世界116の国と地域に発送できるように、日本郵便やフェデックスなどの配送を活用している」


 ――倉庫の規模は。

 「約1万2000平方メートルで、在庫数は時期により変動するが約10万点程度。1日当たりの発送数は約2000件前後。在籍人員は約250人で、ささげなどの多岐にわたる業務を担当する。基本的にはパートやアルバイトがメイン」

 ――24年問題について思うことは。

「やはり物流費の値上げという話が出てくるだろう。ただこの話が出る数年以上前から、物流費の対策には取り組んでいた。ある程度の物量を確保したスケールメリットを出すことで、物流会社との交渉を有利に進められるようにしている。前述の自社以外の出荷業務も行うことで、流通する商品数を増やしている。加えて、複数の配送会社との取り引きにすることで、極力送料を抑えるようにも心がけている。

 また、今ではワンウェイでの買い取りを推進している。当社の顧客は、一つの箱に10~15点程度の査定希望の品物を入れてくるケースが多いが、従来からの宅配キットの場合は、ワンウェイと違って最初に当社からキットを送るという配送工程がひとつ余分に増えてしまう。

 ワンウェイは物流費の削減や利便性ということだけでなく、カーボンニュートラルの観点からも推進すべき方法だ。そのため、ワンウェイ利用者には買取金額に上乗せするクーポンをつけたりして、利用を促している。

 もう一つのワンウェイのメリットとしてはスピードもある。これは昼12時までに依頼があれば当日の18時には集荷が可能となり、遅くとも翌々日には当社の倉庫に届いて、そこから3日以内には査定するため、確実に1週間以内にすべてが完了できる。従来の宅配キットでは、場合にもよるが2~3日はリードタイムが長くなってしまう。今は徐々にワンウェイの整備が進んだこともあり、体感的には大体6割程度の顧客がこの手法を選んでいる」


  ――そのほかに発送ロスを抑える対策については。

 「最近では宅配買い取りの申し込みページ自体を少し変更した。これまでは、査定申し込みの際にキットを依頼して、その後にまた違うフォームを使って顧客自身に集荷依頼をかけてもらう内容だった。しかし、キットの申し込みの過程で同時に集荷依頼の時間も申し込めるようにフォームを刷新したところ、キャンセル率が減った。当社に届く率では刷新以前よりも2%程度上がったと見ている。

 やはり、必ずしも品物を売らなければすぐに生活が困ってしまうというような顧客層ではないので、売るための決心がどこかの過程で揺らぐと途中でのキャンセルにつながってしまう。そこで、最初に集荷の時間までも抑えるようにすることで、途中離脱することなく最後までやってもらえるのでは」(つづく)



 
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