通販各社の増税時負担なくせ

2013年09月12日 09:57

2013年09月12日 09:57

来年4月1日からスタート予定とされる消費増税を踏まえ、その対応と準備を始める通販事業者が増えてきたが、混乱が広がっているようだ。通販では受注から配送までにタイムラグがあるわけだが、こうした通販特有の事情から起因して例えば税率が変わる新年度間際の注文について旧税率と新税率のどちらを顧客に負担してもらうべきか、など具体的な問題についてどう対処すればよいかわからないためだ。10月1日から施行される消費税転嫁対策特別措置法に合わせて、増税時の禁止事項などの指針が関連各省庁から公表されたものの、先のような対処に迷う問題については行政サイドから何ら指針はない。

 本来であれば、通販市場の業界団体たるJADMAが一定の指針を示すべきだろう、との声もある。ただ、現実問題としてカタログ、ネット系の通販専業社やメーカーや百貨店などの兼業社など様々な企業が、様々な商材を扱う通販では各社によって立場が異なりすぎ統一ルールを示すことは難しいわけだ。要は通販事業者は少ない情報を勘案しながら、自分自身で増税時の諸問題を解決していくほかないということになる。

 では、各社はどう対処していくのだろうか。例えば、先の「新年度間際の注文の処理」について言えば、恐らくこのまま行くと多くの通販事業者は、商品配送日が本来であれば顧客から新税率を徴収することになる新年度、つまり4月1日以降となる場合でも「3月31までの注文」に関しては旧税率のまま、販売することになりそうだ。無論、「年度内の注文でも配送が新年度になってしまう場合は新税率を徴収します」などときちんと顧客に説明し、実際にそうすれば事業者の負担はないし、消費税の本来的な趣旨にも合致する。ただ、実際には「実店舗のように年度内は旧税率が適用されると顧客は思い込んでいることが多く、納得してくれないだろう」とする通販事業者は多く、無用な混乱を恐れたり、増税前の駆け込み需要の獲得を狙い攻勢をかける店舗小売事業者を前にそうも言っていられないだろう。

 そうなると、アップした税率分は通販事業者が負担することになる。日商1億円規模の通販企業の場合、仮に新税率が8%だとすると、増えた3%分、1日300万円程度を負担することになる。速配ができない企業の場合、新年度を前にした数日間にわたって差額を負担し続けることにもなりかねない。莫大な金額ではないとは言え、本来は負担する必要のないコストで釈然としない思いを持つ事業者は多いはずだ。

 こうした問題は消費税導入時や税率を3%から5%に変更した時から変わっていない。通販市場が拡大し、成長市場となっていることなども踏まえ、行政は通常の小売業とは異なる通信販売という業態からくる特有の問題も考慮し、適切な指針や有効的な経過措置を出すべきだ。また、通販事業者が増税時に無駄な負担をしなくてもよいように、行政サイドでも消費者への適切な周知を徹底・強化すべきだ。あと何度、税率が変更されるか現状では不明だが毎度、通販事業者がこうした混乱や負担を強いられるのは御免である。

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