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トップインタビュー、ケンコーコム後藤玄利代表 震災後体制作りを最優先

2011年 6月 3日 10:32

021.jpg東日本大震災の発生を受け、関東地区の本社機能や倉庫の移転、システムのクラウド化など抜本的な事業運営体制の見直しに乗り出したケンコーコム(本社・福岡市中央区)。現状の取り組みと今後の見通しについて、後藤玄利代表に話を聞いた(聞き手は本紙編集次長・後藤浩)

――今期のテーマに「インフラ企業としての責任を果たす」ことを掲げている。現在の取り組みの状況をお聞きしたい。
 「震災後の体制移行が重要になっている。震災によって乱れた商品の需給の復旧を進めるのと並行して、福岡への一部本社機能の移転やシステムのクラウド化、宇都宮の倉庫移転などの体制整備を進めている。夏までにそれを全て終わらせることが今の最優先課題だ」

――5月16日に福岡オフィスを開設したが、現在の体制は。
 「20人程度でスタートした。半数は福岡で採用している。東京に残っている管理系やシステム系の社員も、決算処理、システムのクラウド化作業が終わってから福岡に移ってくる。5月末で約40人体制になるだろう」

――この数年の業績を見ると収益性に課題があるようだが、震災後の体制移行によるコスト的なメリットは。
 「今、10%強ある固定費をどれだけ下げられるかを考えると、東京よりも福岡の方がオフィス賃料や人件費が安い。実際に動かしてみなければ、コスト削減効果が分からない部分もあるが、将来的に効いてくるはずだ」

――楽天グループの投資会社・RSエンパワメントが資本参加し、筆頭株主になった。楽天グループの経営への関与を取沙汰する声もあるが。
 「RSエンパワメントはあくまでも投資会社。当社のビジネスに関与するということはない。第三者割当による資金調達で自由度が高まり、震災後の体制整備がしやすくなったのは確かだ。しかし、ビジネスの部分で直接的な関係はない」

――本業の健康関連商品ネット販売での取り組みは。
 「米国の子会社などグローバルな商品調達機能を活かし、海外からの輸入商品を増やそうと考えている。すでに米国や欧州から、ミネラルウォーター、乾電池、シリアル、洗剤などを輸入しており、アイテム数は100近くある。今回の震災では、国内メーカーの工場の被災などで商品調達が滞るケースもあったが、輸入商品を増やし、有事の際に安定的に商品を供給できるようにする。また、品揃えの面で差別化につながる部分もある」

――販促の面では。
 「従来から行っている健康関連情報の提供について、もっと顧客とインタラクティブにやろうと考えている。また、注目されているソーシャルコマースについても、ある程度準備は終わっている。震災後の体制作りがひと段落してから、そのあたりを加速させたい」

――海外事業が今後の成長のドライバーになると思うが、現状は。
 「まず、ケンコーコムシンガポールは、日本の邦人を中心にサプリメントや医薬品のネット販売を行っているが、全体の売り上げは医薬品の動向とかなりリンクしている。前期は日本のOTC市場の落ち込みが影響する形になった。シンガポールは、中国・アジアが成長するから有望なビジネスになる。今は邦人向けが中心だが、しっかりと基盤を確立させた上で、アジアのマーケットを掴みにいくのが本来あるべきミッションになる」

――中国では現地企業と組み、店舗向け卸とネット販売を行う計画だが、将来的な売り上げ・利益への貢献度をどのように見ているのか。
 「現地企業とビジネススキームなどを詰めている段階で、将来的な事業規模については、まだ何とも言えない。ただ、あまり時間を掛けられない案件でもある。今期中に事業を開始できればと考えている」


 
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