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酒・食品卸の国分  各商品が"コンテンツ"、通販への提案積極化

2011年 9月14日 19:12

 8-2.jpg缶詰を買回り品から嗜好品へ。大手酒・食品卸の国分は通販・ネット販売事業者に対し、オリジナル缶詰「缶つま」の売り込みを積極化する構えを見せている。同商品は、昨年2月に発売した酒のつまみの缶詰シリーズで、食材の産地などにこだわったのが特徴。すでに一部の通販事業者でも扱っているが、説明商材的な要素や、顧客が"コンテンツ"として楽しめる商品作りが奏功し、知る人ぞ知る商品となりつつあるようだ。

 現在「缶つま」では、「みそカレー味のさんま」「オイルサーディーン」「ムール貝の白ワイン蒸」など24アイテムを展開。系統としては、通常の「缶つま」のほか、国産原材料の使用と品質にこだわった「缶つま☆プレミアム」、味付けなどを洋風にした「缶つまレストラン」があり、価格(税別希望小売価格)は160~800円になる。

 もともと「缶つま」は、価格競争が激しいスーパーなどリアルの缶詰売場から脱却し、国分が得意とする「酒の棚で売ってもらうことを考えて作った商品」(食品統括部オリジナル商品担当・森公一副部長)。通常の缶詰と比較するとやや価格は高いが、その分、原材料の産地、あるいは使用する原材料によって工場を使い分けるなど、素材や製法にこだわり、酒類を引き立てる商品に仕上げた。

 また、商品パッケージについても、「缶詰は中身が見えない」(同)という課題を解消するため、商品の中身の画像を印刷した紙製のケースを付加(一部商品除く)し、原材料の産地も表示。これにより高級感や品質の訴求効果を打ち出し、ギフトでの展開も可能としている。

 一方、販促支援の部分にも力を入れており、販売事業者に商品画像データなどをオープンに提供するほか、「缶つま」を使ったレシピの紹介冊子も作成。顧客が捨てられない販促物とするため、誌面構成や表紙デザインなどにこだわりを持たせた。実際、同商品を扱う通販事業者でも、商品に冊子を同梱するケースもあるなど、通販の販促物としても機能しているようだ。

 さらに国分は、「缶つま」を使ったレシピの投稿サイト「缶つま倶楽部」も運営。これは"顧客が楽しめるコンテンツ"として展開する「缶つま」のコンセプトを反映させたもので、レシピ紹介のメルマガを毎日会員に送信。ネットで「缶つま」を販売する事業者の中には、「ツイッター」で顧客からレシピを募るなど、同サイトを販促の参考にしているところもある。

 国分によると、「缶つま」を扱っている販売事業者は、昨年末の段階で約400社。中心は有店舗小売業だが、7&アイホールディングスグループやイオングループ、酒販店のカクヤスなどでもネット販売を行っており、通販専業系では、ディノスや世界文化社、アマゾンなどが早い段階から同商品を扱っている。

 前期の「缶つま」の卸売上高は約1億5000万円。販売動向としては、「嗜好品にかなり振っているため、顧客も面白がって買っている」(同)状況で、同商品を扱う百貨店では1カ月に3、4ケースを売るところもあるという。今期は卸売上高2億5000万円を目指す考えだ。

 国分は「缶つま」について、ネット販売等とも親和性があると見ており、今後、商品コンセプトを理解してくれる通販・ネット販売事業者へのアプローチを推進。通販・ネット販向けの試みとして、「貴重な原材料を使った数量限定商品も作ってみたい」(同)と意気込みを見せる。
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