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オリンパス問題 巨費投じ健食通販買収、1年後に大幅減損処理

2011年10月26日 18:21

031.jpg不透明な社長解任から続くオリンパスの混乱が収まらない。マイケル・ウッドフォード前社長が解任された10月14日から株価は急落。一部メディアに内情を暴露した前社長と現経営陣との対立は深まる一方だ。

 問題となっているのは、2008年に行った英医療機器メーカー・ジャイラスの買収時に、ファイナンシャルアドバイザーに巨額の手数料を支払ったこと。06年から08年にかけて化粧品・健康食品通販のヒューマラボなど3つの小企業を買収した際、700億円以上もの資金を投じていることの2点だ。

 報道を受けてオリンパスが開示した資料によると、ヒューマラボの買収総額は231億9900万円。買収が完了した08年4月から、1年もたたない09年3月には183億7000万円の減損処理を行っている。資源リサイクルのアルティス、電子レンジ用容器のNEWS CHEFも同様に減損処理を実施しており、減損の総額は買収額合計734億円の75%以上にも及ぶ。

 オリンパスでは、減損処理の理由を「リーマンショックなど外部環境の悪化を考慮した」と説明する。同社は3社の売上高など財務状況を明らかにしていないが、帝国データバンクによれば、ヒューマラボの07年12月期売上高は7000万円。減損処理を行った09年3月期の売上高は1億5000万円、当期損失は7億6200万円だ。さらに、官報に掲載された09年3月期の決算公告では債務超過に陥っていることが分かる。

 業界関係者によると、同社は2005年6月、シイタケ菌糸体培地培養エキス「L・E・M」の普及を目的に設立された。通販を本格化したのは2008年1月で、「L・E・M」を使用した女性向けサプリメントを発売。同社では08年2月の本紙取材に対し「3~5年で売上高56億円を目指す」と説明していた。

 広告費数億円を投下し、テレビCMや中吊り広告などを展開し認知度を向上。「医師を招いたセミナーを通じて新規客を獲得しており、アウトバウンドによるリピート率も約7割に達していた」(業界関係者)という。

 また、化粧品事業では基礎化粧品「アージュレス」をラインアップ。昨年は折込チラシを中心に広告を展開し、チラシではオリンパスの関連会社である点をアピールしていた。ただ、巨額の赤字を計上していたもようで、オリンパスの子会社化以降は少なくとも2回社長が交代するなど、経営は迷走しているようだ。

 直近の売上高が7000万円に過ぎない企業に232億円もの資金を投じて買収したことになるが、オリンパスは「DCF法により298億~393億円の価値があると評価した」と正当性を主張する。DCF法は3~5年程度の事業計画を立て、成長した際の企業評価を現在の価値に置き換えて評価額を算出するというもの。つまり、数年後には年商数百億円規模に成長していなければならないわけだが、帝国データバンクによると、ヒューマラボの11年3月期の売上高は9億円にとどまっている。M&Aに詳しい弁護士は「事業計画自体がずさんだったのでは」と指摘する。

 また、多額の減損処理に至った経緯も説明不足だ。先の弁護士は「売り上げ自体は伸びており、(株価に影響を受けない)非上場企業がリーマンショックを理由にするのは不自然だ」と話す。

 さらに問題となってくるのが、多額の売却益を得たヒューマラボの元株主。これについてオリンパスでは「お答えできない」(広報・IR室)としているが、一部報道によれば、ヒューマラボなど3社の元株主は海外ファンドだという。ファンドを運営する企業、ファンドに出資している企業も含め、オリンパスは不透明な資金の流れを明確にする必要がありそうだ。

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