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我が社のEC戦略とキラーツール㊤ オーセンティック、商品で多くの人を笑顔に

2012年11月29日 11:28

7-1.jpgYKSのアプリサービス導入、ファン獲得に寄与

「CUBE SUGAR(キューブシュガー)」のブランド名でカジュアル衣料を展開するオーセンティック(本社・東京都渋谷区、川上吉彦社長)は、ネット販売の取り組みを積極化している。現在、同社は全国に直営23店舗を展開。ネット販売については「楽天市場」へ出店する形で4年半前からスタートし、来年中にも自社通販サイトの開設を計画する。同社のEC戦略を考える上でポイントと言えるのは、スマホ対応を基盤にしたブランドファンの開拓。この部分で、ヤマトキャリアサービス(YKS=同、奥住智洋社長)のスマホアプリサービス「タッチパネルECアプリ」が有効なツールとして機能しているようだ。

 オーセンティックが展開する「キューブシュガー」ブランドの商品は、インナーやTシャツ、パーカー、アウター、バッグなど600~700型(2012年)で、価格帯は2000円台から1~2万円程度。客層(店舗)としては、30代を中心に20~40代と幅広く、親子で商品を購入するケースがあるなど、幅広い層に支持されている。

 オーセンティックがネット販売に乗り出した目的は、"「キューブシュガー」を通じて一人でも多くの方に笑顔になってもらいたい"という考えの具現化。すでに直営店舗を展開しているが、全国をカバーしているわけではない。そのため、未出店エリアにも商品を届けられるネット販売を通じ、「キューブシュガー」ファンを増やす狙いだ。

 「楽天市場」に出店したのは4年半前だが、売り上げは順調に拡大しており、ほぼ毎月30~40%増のペースで推移。「楽天市場」からの新規顧客も多く、「初めて商品を購入し『キューブシュガー』を好きになったという人もいる」(岡田正樹EC事業部チーフ)など、今期、目標とするネット売上高2億円の達成に手応えを感じているようだ。

 同社がネット販売の展開で重視しているのは、顧客に商品の良さを実感してもらいブランドのファンになってもらうことだが、ファン作りや囲い込みなどの面で重視したのがアプリによるスマホ対応だ。

 もともとは、「『キューブシュガー』が好きな方であれば、スマホのホーム画面上にアイコンがあればうれしいのではないか」(同)と考えてのもの。実際にアプリ導入を検討する中で開発費用や導入後の手間などがネックとなったが、YKSが「タッチパネルECアプリ」を提案。スマホのホーム画面に常駐するアイコンから直接「楽天市場」で扱う自社商品が見られ、使い勝手も良いこと、さらに安価で導入でき、仮想モール上で公開されているデータの活用で導入後の人手がかからないなどの条件が合致し、導入を即決したという。

 昨年の夏から秋にかけ、iOS版とAndroid版を導入したが、オーセンティック側の作業負担は特になく、イベントの情報などを伝えるため、オプションサービスを使いバナー表示をできるようにするなどの作り込みを行った。

 アプリ導入後の状況としては、まずアプリのダウンロード数が現状約3600人。数としては少ないようにも思えるが、このほとんどは店舗で買物をした際に手渡すフライヤーを通じたもの。つまり、商品を気に入ってアプリをダウンロードした「質の高い顧客が登録している」(同)わけだ。

 また、商品詳細ページのPV数は月間約8万(iPhoneおよびiPad、Android端末の合計)で、うち「楽天市場」の買物カゴ(同アプリでは「楽天市場」の買物カゴに遷移して決済する)のPVが約1500件。システム上、「楽天市場」の買物カゴでの正確な決済件数までは追えないが、質の高い顧客がアプリをダウンロードしていることから、買物カゴに入った顧客の8割程度が実際に商品を購入していると分析する。

 また、アプリ導入前におよそ3対1だったPCと携帯・スマホの売り上げ構成比は、現在ほぼ半々の水準。スマホが伸長し携帯電話を上回っている状況で、アプリ経由の売り上げがネット販売全体月商の6~7%程度のようだが、「人手がほとんどかかっていないことや月額1万数千円のアプリ利用料を考えると貢献度はかなり大きいと思う」(同)とする。

 もともとYKSの「タッチパネルECアプリ」には、ファンの囲い込みという狙いがあるが、質の高い顧客がダウンロードしているなどの点から、オーセンティックでは、その効果を体感しているとする。さらに店舗との連携の面でも、効果が見え始めているようだ。(つづく)

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