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【広がる当日配送】ヨドバシ・書籍などに対応 ヤマダ・店舗網を活用

2013年 2月28日 13:38

 6-1.jpgヨドバシカメラは2月、書籍の取り扱いを開始した。同時に、文具・事務用品や日用品、化粧品などの販売も始めた。同社では2011年8月から一部地域で当日配送に対応しているが、新たに取り扱いを開始した書籍などでも対応。今後は当日配送の対応地域を拡大する予定だ。一方、最大手となるヤマダ電機も「近隣店舗のスタッフが配達」という形での対応を予定しており、当日配送サービスが広がりをみせている。

 ヨドバシでは、新たに取り扱いを開始した商品でもポイントサービスに対応。文具・事務用品や日用品、化粧品は他の商品と同じく10%、書籍に関しては3%をポイントとして還元する。送料は無料で、首都圏や全国の主要都市など、一部地域では注文当日の配送にも対応する。

 同社の2012年3月期ネット販売事業の売上高は前期比3・6%減の342億8400万円だが、今期は20%前後の増収を見込んでおり、さらには売上高1000億円の早期達成を目標としている。

 取り扱い品目を拡大するとともに、当日配送地域を拡大することで、既存顧客の購入回数を増やし、売り上げの底上げを狙う。

 一方、最大手のヤマダでは全国各地の店舗を使う形での当日配送を計画している。店舗の在庫を活用し、販売員が商品を届ける仕組み。有料のサービスとなる予定だ。

 通販サイトから商品を注文すると、住所から一番近い店舗から発送される仕組み。該当する店舗に在庫がない場合は通常の出荷となる。なお、全店舗での対応は行わない見込み。

 さらには、販売員が顧客宅で家電製品への需要を聞き取る「御用聞き」を行うことで、次回の注文につなげるという。

 両社が当日配送を強化する背景には、ネット販売市場の伸長がある。特に両社が意識するのはアマゾンだ。商品供給の安定しない安売りネットショップとは違い、アマゾンの幅広い品揃えと価格戦略は両社にとって脅威となる。

 ヨドバシは品揃えをアマゾン並みにするとともに、書籍や日用品にもポイントを付与。当日配送は有料となるアマゾンとのさらなる差別化を図る。また、ヤマダは既存の店舗を有効活用することでネット販売売上高を拡大する狙いだ。

 こうした大手量販店以外でも、当日配送を始める企業は出てきている。パソコン専門店「ドスパラ」を運営するドスパラでは、昨年から関東地域限定で、12時までの受注商品を当日中に配達するサービスを展開。「実際に注文して当日中に届いた顧客のくちコミ(ツイッターなど)がきっかけとなった新規顧客が増加している」(ドスパラ広報担当)という。

 ただ、当日配送はコスト面での負担が重いだけに、需要に見合うかどうかが問題となる。ベルーナでは「(アパレルや家具など)当社の取り扱い商品の場合、当日配送の実施による顧客の満足度向上がそこまで大きいとは思えない」(安野雄一朗取締役)とみており、当面は対応しない予定という。

 また、家電製品を販売する「まいど」のディーケイシーでは昨年、一部商品で試験的に当日配送サービスを実施したものの「少人数で運営していることから、手間を取られすぎることや、倉庫のシステムの問題もあり、費用対効果に課題があった」(三輪謙二朗統括マネージャー)という。

 とはいえ、ディーケイシーでは「(当日配送に)需要があるのは間違いない」とみており、来期(14年3月期)に向けた課題としている。ベルーナでも来年完成する物流センターの稼働により、注文当日に発送できる体制が整う予定で、「(リードタイムなどは)業界の平均レベルを維持する必要はある」(安野取締役)とする。

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