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フジ・メディア・ホールディングス ディノスとセシールが合併

2013年 3月 7日 10:42

 フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は7月1日付で傘下の通販企業、ディノスとセシールおよび両社を管轄している中間持株会社を合併させ、「株式会社ディノス・セシール」を発足させる。ディノスとセシールの前期の売上高の合計は1200億円程度となり、ニッセンや千趣会と肩を並べる大手通販企業が誕生することになる。合併に伴い、従来からグループの通販企業として進めてきた両社のノウハウを掛け合わせた商品開発や販促策などをより本格的に強化していく模様。また管理部門や受注部門の共有化などを進め、売り上げ拡大と経営の効率化を図り、フジグループの通販企業として、台頭するネット通販専業社などに対抗したい考えもあるようだ。

 FMHは2月28日開催の取締役会で、連結子会社で通販事業を統括する中間持株会社のフジ・ダイレクト・マーケティング(FDM)と同社の100%子会社のディノスとセシールの3社を7月1日付で合併させることを決めた。存続会社はディノスでほかの2社を吸収合併。同日付でディノスは商号を「株式会社ディノス・セシール」に変更する。なお同社の資本金は20億円となる。「ディノス・セシール」の社長については、中間持株会社のFDMでは会長にディノス社長の石川氏、社長にセシール社長の上田氏がそれぞれ就いており、「ディノス・セシール」でも同様の人事体制が踏襲される公算が高いと見られるが、「現状では未定」(FMH)としている。

 「ディノス・セシール」の本社は現ディノス本社(東京都中野区)とするが、香川・高松のセシールの現本社や、香川・さぬきの同社の物流拠点「志度ロジスティクスセンター」などは残すとしている。また、カタログなどの制作・発行や通販サイトの運営なども当面は従来通り、別々に行う模様であることなどから、合併後も性急な業務統合は行わず、2本社体制をとる方針のようだ。

 ディノスとセシールは、FMHが09年に子会社を通じてセシール株式の公開買付けを実施し、同社を子会社化した直後から、合併に向けた準備を進めるとみられていたが、具体的な理由は不明だが、合併により間接部門の統合などの効率化が期待できる半面、両社が保有するブランドや顧客情報、社員の扱いなどの問題もあったと見られ、「これまでの検討作業を踏まえ、総合的に判断した結果」(セシール広報室=当時)、中間持株会社方式による連携を選択。通販事業を統括する中間持株会社であるFDMを設け、合併ではなく両社をその傘下に置き、両社が得意とする分野に注力しながら、双方の顧客基盤を活用しつつグループとしての通販事業の拡大を図るための連携を進めてきた経緯がある。

 今回のタイミングで両社を合併させることにした理由については「これまでディノスとセシールで商品開発や販促、媒体制作、受注部門など様々な部分で連携を行ってきたこともあり合併のための準備が整ったため」(FMH)としている。

 これまでもディノスとセシールは共同で販促キャンペーンや「羊毛敷布団」といった共同企画商品の開発、共同の下着ブランド「フィラメージュ」の立ち上げや同ブランドの通販カタログの制作のほか、ディノスがコールセンターの繁忙期対策の一環として、一部の受注業務をセシールの子会社でコンタクトセンター事業を行うセシールコミュニケーションズに委託する形で、同社が保有する北海道や沖縄のコールセンターの共同利用などの連携を進めてきた。

 合併後はこうした進めてきた各種の連携をさらに強化しつつ、売り上げ拡大と間接部門など両社で重複する機能の統合などによる効率化でコストを削減し、効率的な経営を目指していく考えだ。

 ディノスとセシールの直近(2012年3月期)の年商はそれぞれ597億6700万円、592億5500万円。単純合計では1190億2200万円で、これは通販大手のニッセンや千趣会と肩を並べる規模となる。FMHでは両通販子会社の統合によるスケールメリットなどを活かして、競合の通販大手のほか、台頭するネット通販専業社にも対抗していきたい考えがあるようだ。

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