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スタイライフ  再成長へ「まず自力で」、楽天流マーケ施策で成果

2013年 3月22日 16:30

 3-1.jpgスタイライフは、楽天流のKPI(重要業績評価指標)検証の導入とファッションECとしての独自性を追求することなどで、再成長に向けた事業基盤の強化を図る。
 
 通販雑誌の廃止や連結子会社の売却など一連の構造改革を通じて負の遺産と決別したスタイライフは、今夏に楽天の完全子会社となる見込みだが、「楽天におんぶに抱っこではなく、まずは自力で再成長する」(松山奨副社長=写真)としている。

 そのために、今年から楽天流のドリルダウンした細かいKPI検証を取り入れ、展開するサイト別やチーム別、バイヤー別などで1日単位の売り上げ分析を徹底するほか、従来はあまり実施していなかった短期集中型のセールなどを開催して効果測定の精度を高めており、すでに楽天流マーケティング施策の効果が出てきているようだ。

 例えば、「スタイライフ」サイトでは今年2月1日~7日に「会員数150万人突破記念セール」を実施。期間中の来訪者が前年同期比で1・9倍に、コンバージョンも同5割アップした。

 例年、1月は大型セールや福袋の販売で売り上げが大きいが、同月と比べても記念セールの初動(3日間)は、セールに参加した74ブランドの売り上げが27・9%増(前年同期比では64・2%増)だったのに対し、不参加の220ブランドは同1・2%減(同45・5%増)となるなど、総合モールだけでなくファッション専門サイトでも、月初めの短期セールで売り上げが取れることが分かったという。

 150万人突破セールでは、スタイライフの強みでもあるスナップ写真を多用するなど、専業ならではの訴求力を発揮したことも好結果に結びついたようだ。

 また、同社が出店する「楽天ブランドアベニュー(RBA)」でも、3月3日~4日に開催された「楽天スーパーセール」は、参加ブランドの増加などもあって好調だったほか、KDDIと共同運営する「auブランドガーデン」もメンズを含めたブランド数の拡大や、スマホ経由の販売の伸びなどで前年比30%以上の増収で推移していることから、スタイライフの今年1~3月期の売り上げは2ケタ近い伸びとなる見込みだ。


組織体制を見直し
国際販売にも着手


 同社では、構造改革を進めるのと並行して2月22~23日に、課長職以上を集めた合宿を行い、過去の反省点や継承すべき強みの再確認、今後の重点取り組みなどを洗い出して共有したという。

 強みの部分では、取引先ブランドから預かった在庫を1カ所の倉庫で保管しながら「スタイライフ」本店と「auブランドガーデン」「RBA」「パルコ・シティ」「LOVEバーゲン」の5サイトで販売できる利点を生かしながら、撮影、ライティング、モデルの手配を含めた一気通貫型のサービスを強化する。

 一環として、3月1日に組織改正を実施。これまで全バイヤーが所属していた商品グループについて、ブランドごとに最適なサイト出店を提案するストアプランニング(店舗開発)グループを新設するとともに、バイヤーチームをファッションのテイストによって細分化。店舗開発部隊には楽天社員も合流して協業体制を強める。

 また、スタイライフが出店する楽天の「RBA」については、同サイト全体の撮影やライティングといった"ささげ"業務と物流業務をスタイライフが持つ埼玉県杉戸の倉庫に移転中で、シナジーの一環として業務効率化を図るのに加え、同社が得意とするスタイリング提案や編集力を「RBA」でも打ち出していく。

 一方、今後の重点取り組みとしては、国際販売(海外向け販売)に挑戦する。「ブランド側から一番期待されていて、競合との差別化にもつながる」(松山副社長)とし、具体的な取り組みはこれからだが、楽天が進めるグローバル展開に歩調を合わせて、日本のファッションブランドを海外に発信し、販売する考え。

 国内については、ファッションのEC化率が4・3%とも言われており、96%近くのEC未経験者にネットで服を買ってもらう取り組みを重視。そのためには、「楽天流のオペレーションに加えて、ファッション商材を売るための"香りづけ"が大切になる」(同)とし、ネットでしか買えない商品や、ネットならではの機能を生かした買い物体験など、次世代のECのあり方を模索していく。

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