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クラウドナイン 利益生む運営手法を確立、韓国ECと提携しリスク低減

2013年 7月18日 18:44

 衣料品のネット販売を手がけるクラウドナインは、韓国のファッション通販サイトと提携することで在庫リスクなどを抑え、利益率が高いサイト運営に成功している。

 昨年5月に立ち上げた独自ドメインの通販サイト「ダバガール」は韓国で人気がある同名のサイトと提携して開設した。

 同社は人気上昇中の韓国ファッションを扱うのに当たり、事業リスクを低減するために(1)自社で生産しない(2)オリジナル商品は販売しない(3)在庫を持たない―の3点を重視。そこで目をつけたのが日本でも受けそうな商材を扱う「ダバガール」で、運営企業を説得して日本での販売権を得た。

 韓国系通販サイトが人気なのは、日本と比べて1商品当たりの掲載写真が圧倒的に多いほか、モデルの質やロケ地の選び方、照明の当て方などネットで服を売るためのコストを"買う気にさせる"部分に集中。販売面では受発注方式で在庫リスクを排除している。

 単に韓国から商品を仕入れるだけでは日本での撮影コストがかさむのに加え、日本在住の韓国人バイヤーが仲介する場合は手数料が高く利益を出すのが難しくなる。

 クラウドナインの場合は日本版のサイトを用意し、韓国側が撮影した写真を使用。サイトのレイアウトや商品名は変更し、商品コメントも翻訳をベースに分かりやすい表現に修正している。

 韓国の「ダバガール」では新作を毎日10~15点発表し、日本でも同じ商品を1日遅れで販売。回転率を高めて毎日の訪問を促し、商品は2週間~1カ月で売り切る。

 当初は日本で梱包していたが、今春に韓国オフィスを開設。同国で梱包・伝票貼りまで行い、一定のロットで日本に送り、開梱してそのまま消費者に発送するフローに切り替えて配送スピードの改善につなげた。

 こうしたスキームで利益率の高いサイト運営が軌道に乗ったため、今年5月に姉妹サイト「ISHOO(イショウ)」を開設。セクシー系の多い「ダバガール」に対し、新サイトはカワイイ系、カジュアル系、OL系を中心に扱う。

 サイトの開設に当たっては、新たに韓国のファッション通販サイト「クギガール」「ライロン」「ボンジャ」の3サイトと提携。単独ショップとの契約は取引先の経営方針に左右される可能性があるため、新サイトは「イショウ」というオリジナルのショップ名を付けることで独自のブランディングを描けるようにした。

 また、「イショウ」ではモデルやブロガーとして活躍する大田明弥さんをディレクターに起用。顧客層と同世代の大田さんが消費者目線に立ち、複数ショップの商材から毎日30~40点の新作を提案。通販サイトというよりはアパレルよりのブランディングを重視し、「イショウ」で服を購入することがステータスになるようにしたいという。

 そのため、集客のメーンはファッション誌とし、イメージ戦略も大事にする。また、サイト作りでは、土日を含めてバナーのデザインなどもウェブデザインを学んだ大田さんが毎日更新している。

 サービス面では、このほどチャット機能をスタート。「リアル店舗で服を買う楽しさは友人や店員との会話から生まれる」(大田明弥さん)ことから、オンラインでも意思疎通が図れるチャットに注目。管理画面で消費者がどの商品を見ながら質問しているかなどが分かるため、ショップ店員の役割を担えるという。現在、チャット機能の開設時間は午前10~午後6時だが、今後は遅い時間帯にも対応したい考え。
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