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機能性見直し検討会 GMPの被害報告強化へ、「サプリメント法」制定の必要性も

2024年 5月 9日 12:00

 小林製薬製造の「紅麹」の健康被害問題を受けた消費者庁の検討会は、品質管理に向けたGMPの活用、健康被害収集・報告体制の強化を視野に入れる。業界団体、消費者団体双方から”サプリメント法”の制定で、個別の管理を行う要望がでた。ただ、5月末までに結論をまとめるスケジュールから、今後の検討課題とする方針が濃厚だ。

 
 4月24日に行われた「機能性表示食品を巡る検討会」の第2回会合は、業界団体、消費者団体6団体からヒアリングを行った。

 業界団体からは、成分が濃縮されるサプリメントの特性を踏まえ、「GMP(製造管理基準)が義務化されている海外との国際整合性の観点から原料・製品の品質管理が必要」(健康食品産業協議会)、「GMPなどサプリ形状の製造管理の見直しが必要」(日本通信販売協会=JADMA)、GMP認証を行う日本健康・栄養協会(=日健栄協)は、製品GMPが137工場である一方、原材料は16工場にとどまることから「国の関与を強め、推奨が必要」と意見した。

 健康被害の収集体制も小林製薬による行政当局への報告に2カ月を要したことから、各団体が見直しの必要性に言及。「医師など有識者による受け皿が必要」(健食協議会)、「被害報告の要件の見直し、医師など有識者との連携で客観的に分析する会議体が必要」(JADMA)との提案がされた。委員からも企業と有識者の連携強化による対応に賛意を示す声があった。日健栄協は、重篤度、因果関係など事業者による報告の判断基準の明確化を求めた。

 業界団体からは、錠剤・カプセルなどサプリメントの定義を含め、”サプリメント法”の制定を求める声もあがった。JADMAは、GMPの義務化、届出の更新制導入による販売製品の把握の観点からサプリの特性を踏まえた管理を要請。健食協議会は、米国やASEANなど国際整合性の観点から言及した。この点に、消費者団体からも「法律に位置づけ安全性、品質、機能性を担保すべき。被害報告の義務違反に罰則も必要」など、ルール厳格化の面から求める声があった。

 現在、機能性表示食品は、食品表示法にひもづく府令である食品表示基準に規定されている。中川丈久座長は、「最終的に安全性担保を法令で義務づける方向になると思う」、委員からも「法的な解決策を明確にするのが結論」との意見が出たが、「5月末結論のスケジュールから、今回は、GMPのあり方、被害情報収集を食品表示基準など省令・府令で位置づけるのが成果物」(中川座長)と結論づけた。

 ほかにJADMAは、新規の届出が年間約1400件であるのに対し、これに対応する行政職員が13人であることから、消費者庁に人員の拡充を求めた。事故発生以降、4月前半で約2割の売上減が明らかになり、風評被害が発生。健康食品市場は、1000億円近いマイナス影響が想定され、食品の生産、加工など食品産業全体に影響を及ぼす可能性も大きいことから早期の原因究明、見直しを求めた。一方、「制度による管理が行われていることから、被害報告など迅速な対応が可能だった」と、制度の意義に言及した。

 消費者団体からは、「安全性に問題のある製品が一切世に出ることがない措置を求める」(全国消費者団体連絡会)、「国による確認を求め、サプリ形状の食品の抜本的な見直しが必要」(主婦連合会)、「サプリ形状の食品の食経験の判断基準の見直し、被害報告義務化と判断基準の明確化が必要」(FOOCOM)との意見があった。

 委員からは、「原因は、不純物の混入が強く推定される前提に基づいた議論が必要。菌類による培養生産など、特殊な製法に絞った品質管理のルール化が必要」、「仮説に基づく議論が前提と意識する必要がある」との声もあった。

 第3回会合も被害情報を取り扱う団体からヒアリングを行う。健康被害は、現在、国が原因究明を進めている。

 
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