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アマゾンジャパン、返品商品処分を強化へ、"アウトレットストア"開設で

2013年 8月22日 10:43

「返品商品の処分、急げ」。アマゾンジャパン(本社・東京都目黒区、ジャスパー・チャン社長)は8月8日、同社倉庫内で一部を破損した商品や返品商品を値引きして販売する専門コーナー「Amazonアウトレットストア」を同社通販サイト内に新設した。商品には破損状況により、「良い」「可」など4段階に分けたコンディションを表示し、利用者の安心感を高める工夫を行った。通常商品と同様に送料無料や有料の速配にも対応する。

 数年前から中古品を販売する「マーケットプレイス」内で同様の試みを行ってきたが、返品条件を緩和したり、売り上げの拡大に伴って破損・返品商品が増えてきたことなどから、当該商品の処理を急ぐ必要性が出てきたことなどで展開方法を変え拡販を強化することにした模様だ。

 新設した「Amazonアウトレットストア」ではアマゾンの倉庫内で商品自体および梱包の一部に傷がついたり、破損したものや、販売後に返品された商品のうち、状態は良いが同社基準では新品としては販売できない商品などを通常価格から値引きして販売する。

 書籍であれば水に濡れたものや、他の商品ではケースや外装、梱包が大きく破損し輸送に耐えられないもの、商品が使用不可能だと判断できるほど損傷しているものは販売しない。なお、対象となる商品はアマゾン自身が仕入れ販売する商品で、アマゾンで出店・出品する他の通販事業者の商品は対象外となる。

 書籍はもちろん、CD、DVD、テレビゲーム、玩具、楽器、事務用品、キッチン用品、バッグ、靴、腕時計、ジュエリー、スポーツ用品、家電、カメラ、パソコン関連用品など幅広いジャンルの商品を対象としており、8月8日のスタート時点での商品数は約2万点となっている。

 商品の状態により新品同様の「ほぼ新品」、梱包に多少の傷などがあるが商品に目立った傷はない「非常に良い」、梱包や商品に傷があるが使用の妨げにならない「良い」、梱包が破損し商品に傷があるが使用の妨げにならない「可」とコンディション状態を商品詳細ページで表示。一部が破損したり、返品された商品など"わけあり商品"であっても、状態をあらかじめ表示していくことで利用者が安心して購入できるよう工夫し、購入を促す狙いのようだ。

 「アウトレットストア」で販売する商品はアマゾンが在庫している商品であるため、通常販売で行っている送料無料や有料の速配サービス「お急ぎ便」も適用する。

 同社ではこれまでも一部破損・返品商品などの在庫を処分する一環として、アマゾン内で他の事業者などが中古品などを販売できる「マーケットプレイス」を活用し、「アマゾン」という名称ではなく、「ウェアハウス・ディールズ・ジェーピー」という名称で対象商品を数年前から販売してきた。ただ、「マーケットプレイス」の出品者への配慮などもあったのか、詳細は不明だが、大々的な告知はせず「知っている人は知っている」という、どちらかというと"ひっそり"と展開していたようだ。

 ただ、ここ数年の売上高の急激な伸びに加えて、一昨年あたりから段階的に返品条件の緩和を行っており、現状、顧客都合かつ開封済みの商品であっても購入後30日以内であれば原則、全額または半額返品に応じている。こうしたことを背景に、通常販売できない"わけあり商品"の在庫量が増えている模様で、これら商品の処分速度を速めるべく、展開方法を一新。今回の「アウトレットストア」の新設を決めたようだ。

 「アウトレットストア」への移行後は「ウェアハウス・ディールズ・ジェーピー」の時とは異なり、"アマゾンのサービス"という点を強調し、導線も強化。これまではなかった「アウトレットストア」の専用トップページを設置して、商品カテゴリーごとやおすすめ商品を表示して、商品を選びやすくしたほか、アマゾン内の検索で「アウトレット」と検索すると同コーナーへリンクできるようにした。

 中でも最も大きい導線とみられるのがアマゾンの商品詳細ページ(PCページ)に「アウトレットストア」への直接リンクを付けたことだとみられる。従来までのアマゾンの商品詳細ページは当該商品を「ショッピングカード」に入れる導線は基本は右上に1つだったが、「アウトレットストア」新設以降はその下に「中古品のショッピングカート」が表示されるようになった。これをクリックすると「アウトレットストア」の当該商品がショッピングカートに入ることになる。

 「アウトレットストア」で在庫がある商品であれば、新品の商品詳細ページでも「マーケットプレイス」の他の出品者が販売している商品の商品詳細ページでも、すべてではないようだが「中古品のショッピングカート」を表示するようで、強力な導線と言えそう。これにより"わけあり商品"の処分は大幅に進みそうだ。 

 ただ、一方でアマゾンの出品者からは「アマゾンのサイトなので、アマゾンが何をしても文句は言えないが、あまりに"目立つ導線"で多くが、我々の商品でなく、アマゾンさんに流れてしまうかも。これからが心配だ」との声も出ているようだ。

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