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消費者庁、楽天を問題視、二重価格表示で調査

2014年 4月 3日 14:47

 楽天市場による「二重価格問題」に関して、消費者庁が楽天を調査していることがわかった。4月1日開催の景品表示法の課徴金導入に関する専門調査会で、委員からモール事業者の表示責任に関する議論を求められて明らかにしたもの。楽天の不当表示への関与が認められた場合のケースを問題視し、再発防止のための対応を要請する可能性があるとしている。

 モール事業者の責任を問う声が挙がったのは、消費者委員会の「景表法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会」。弁護士の宮城朗委員が楽天市場で発覚した二重価格問題を挙げ、「社員が表示を指示したという報道もあり、対象が販売事業者だけでいいのかという問題がある。これを分析して取り締まりが可能か考えなければならない」と発言した。モール事業者を景表法の対象とすることについて、検討の時間を確保することを要望した。宮城委員は消費者問題を専門とし、化粧品通販の悠香の「茶のしずく石けん」を巡る訴訟でも弁護団の中心となっている。

 消費者庁は宮城委員に、「楽天に事実関係を調査している」と回答した。二重価格表示の場合、一般的に行政指導で処理するケースが多い。ただ、「個別の販売事業者に再発防止を求めるだけで実効性を確保できるか判断するため、楽天に任意で表示の背景を調査している」(表示対策課)とする。

 景表法では消費者に商品やサービスを供給している事業者が対象となるため、表示に関与していても販売事業者に売り場を提供するモール事業者はこの対象にはならないと解釈されてきた。今回の楽天市場での違反事実が認められた場合も、直接商品を販売する出店者に行政処分などを行うことになる。だが消費者庁は、一連の二重価格騒動を問題視しており、楽天の関与が認められた場合は、モール事業者であっても一定の再発防止策の要請などを行うことを示唆し、何らかの対応を検討する可能性があることを示した。

 さらに、楽天市場の出店者による二重価格問題は、景表法の課徴金導入を巡る検討の行方にも影響を及ぼす。仮想モール事業者を対象範囲とする検討の要望を受けて、小早川座長は「課徴金の導入を検討する上でトピックになると思う」と発言してもいる。

 消費者委員会は「委員や座長の発言は重く受け止めている」(事務局)として、専門調査会で検討の場を設けることを、スケジュールや消費者庁の調査状況を踏まえて判断する。

課徴金の導入前提に議論を継続

 4月1日開催の課徴金導入に係る専門調査会では中間整理を行った。最終とりまとめに向けた議論の方向性を示すものとする。今後は不実証広告規制への適用と、故意過失などを認める主観的要素の必要性、算定方法の相当性などの議論を継続する。課徴金の使い道に関しては、消費者被害の回復に充当できるか改めて検討の機会を設ける。

 中間整理では、不当表示の抑止を目的に課徴金の必要性が高いとして意見が一致。対象範囲を優良誤認と有利誤認とすることで合意を得た。算定率については一律に定めるべきとしておおむね意見の一致がみられたとした。

編集部より:通販新聞では「二重価格問題」など、楽天のECコンサル関連で取材させていただける方を募集しています。取材源の秘匿は厳守いたします。連絡先は楽天特別取材班 電話:03-3815-7635、メール:info@nethanbai.jp です。
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