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「まいど」のディーケイシー  「独自商品」好調で利益に貢献

2014年 7月10日 09:28

 5-1.jpg家電の通販サイト「家電専門店まいど」を運営するディーケイシーの2014年3月期の売上高は、前期比7・4%増の116億円だった。地上デジタル放送への完全移行やエコポイントによる特需の反動から需要低減に苦しむ、家電専業のネット販売企業が多い中で、同社は着実に売り上げを伸ばしている。

 同社の三輪謙二朗統括マネージャーは、増収の要因について「仕入れが安定してきたのが大きい」と話す。家電のネット専業企業の場合、メーカー販売会社経由の正規ルート以外から商品を仕入れていることが多く、これが大手量販店などよりも「安い価格で販売できる」理由となっていた。こうした商品の出どころは、元をたどると大手量販店というケースは珍しくなく、中には「横流し」に近い形で量販店が業者に在庫を安く売るケースも多くみられた。

 ディーケイシーでも、以前はこうした非正規ルートでの仕入れが大半を占めていたが、最近ではメーカー販社や卸経由の正規ルートが8割に達しているという。三輪統括マネージャーは「仕入れが量販店頼みでは安定して商売をすることができない。4年ほど前からメーカーとの関係を少しずつ構築してきた成果だ」と話す。

 以前は扱っていなかった白物家電の販売を開始、これまで付き合いのなかったメーカーとの販売ルートを確立することに成功。近年は量販店の「横流し」も以前に比べると減っているとみられ、これが売り上げの減った他社との違いになっているようだ。

 商品の仕入れ価格は、販売台数そのものが大手量販店と比較すると劣ることから高くなるわけだが、システムを内製化しているほか、倉庫費用の低減、少人数運営の徹底など、固定費の削減でカバーしている。とはいえ、近年は量販店がネット販売を強化。価格比較サイト「価格.com」で最安値を付けるケースも多くみられる。同社は自社サイトを持たず、楽天市場とヤフー!ショッピング、アマゾンなどに出店しているが、仮想モールにも量販店は軒並み出店しており、存在感は高まっている。
 「量販店が力を入れている商品と正面からぶつかったら負ける」(三輪統括マネージャー)。そのため、近年注力しているのは、量販店の扱わない独自商品の開拓だ。

 最近のヒット商品となったのがイーバランスの「ゼロフライヤー」だ。フィリップスの油を使わない揚げ物調理器「ノンフライヤー」に近い性能をもち、なおかつ半額程度で販売しているというもの。量販店では扱っておらず、ネットでも取り扱うサイトは少ない。「(メーカーの知名度がないので)売れはじめるまで時間はかかるが、コストパフォーマンスの良さが浸透してくると好意的な商品レビューが増え、売り上げにつながった」(三輪統括マネージャー)という。

 6月からは、イーバランスとコラボしたスティックパンケーキメーカーを、「まいど」で限定販売している。これは、スティック型卵焼き器「エッグマスター」と近い性能の商品で、ディーケイシーも商品開発に携わった。ブロガーに商品を提供し、レシピを書いてもらうといった取り組みも実施。三輪統括マネージャーは「まだ1日10台程度の販売台数だが、順調にレビューが増えればヒット商品になるのでは」と期待する。

 同社では他にも独自商品として、米コビー社製の液晶テレビを扱っている。こうした商品は利益率がナショナルブランドの家電よりも高いため、広告にコストをかけることができる。検索サイトから流入してきたユーザーを、高い評価のレビューを閲覧してもらうことで購入につなげる
という流れだ。

 薄型テレビなど単価の高い商品で売り上げを稼ぎ、利益率の高い独自商品などで利益を確保する、という体制を築いたディーケイシー。三輪統括マネージャーは「まだ3000点程度しか商品を扱っておらず、伸びしろは十分にある」とみており、まずパソコンや一眼レフカメラなどの取り扱いを拡大する予定。

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