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後払い決済の現状を聞く、ネットプロテクションズ・柴田紳代表取締役社長

2014年12月26日 11:19

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通販・ネット販売の決済手段として注目されている後払いで、圧倒的な存在感を示す「NP後払い」。同サービスを展開するネットプロテクションズの柴田紳社長に昨今の後払い決済市場の動向と今後の取り組みについて話を聞いた。

2015年の「NP後払い」の状況は。

 「導入企業数、取扱件数とも順調に増えている。ただ、昨年は消費増税の影響で、予定していた導入企業のサービス開始が軒並み延期となり、見込みよりも伸びを欠いた」

 14年は、後払い決済の新規参入が目立った。

 「確かに競合は出始めているが、大手事業者のコンペでは当社がほとんど勝っていると思う。後払い決済の取り扱いは大手企業に集中する傾向があり、当社では上位100社で全体の6割、上位200社で8割程度を占める。大手企業の開拓が進んでいるため、当社が後払い決済シェアのほとんどを持つ状況は変わっていない。競合他社は、料率を下げて導入提案をしているが、大手企業は運用実績などをきちんと評価してくれるため、競合他社に負けないという構図になっている」

 後発のサービス提供企業には厳しい環境のようだが。

 「BtoCの通販で後払い決済の認知や浸透が進む中で、市場の規模感、プレーヤーの数というものがある程度見えてきた。すでに当社がほとんどのプレーヤーに接触していることを考えると、後発の競合他社が入り込める余地は少ないだろう。また、後払い決済は、きちんと利益を出し、再投資をしないと規模の拡大に対応できない。現在の当社の規模と業界2番手、3番手の企業の取り扱いの規模ではオペレーションが全く異なる。料率で勝負すると、かえって自分の首を絞めることになりかねないと思う」

 会員制ポイントプログラムの「フフルルポイント」の状況は。

 「『フフルルポイント』の会員数は、現在45万人。『NP後払い』の全取引のうち11%がポイント会員ということを考えると、差別化要素になっている。ポイントサイトも、月間のユニークユーザー数が約10万人で、12月のPVも300万を超えるペースになっており、ちょっとしたメディアと言える規模になっている」

 「NP後払い」に続く事業の柱は考えているのか。

 「有望なのはBtoBの後払い決済。すでに『FREX B2B後払い決済サービス』を提供しているが、ECにもリアルにも対応できるため、市場が非常に大きい」

 「FREX B2B後払い決済サービス」の概要と導入状況は。

 「基本的には『NP後払い』と同様の仕組みだが、BtoBは決済金額が大きくなるため上限額を1社30万円にしている。導入企業が信用力の高い取引先などを当社に登録すれば、100万円まで決済することが可能だ。また、導入企業数は500社超で、年間の取扱高は『NP後払い』の約10分の1だが、成長速度が全く違う。導入企業の中心はチラシや名刺など印刷物の通販企業。上位10社のうち半数以上が当社の後払い決済を導入しており、印刷通販分野の後払い決済シェアのほとんどを当社が持っていると言っていい」

 実際の導入効果は。

 「まず挙げられるのは売り上げのアップ。売り手側からすると、顔が見えない不特定多数の顧客企業に最初から掛け売りをするのはリスクがあり、前払い決済にするところが多いが、買い手の請求書払い(後払い)ニーズに対応できず、機会損失が発生してしまう。『FREX B2B後払い決済サービス』を導入すれば、この課題が解消できるわけだ。実際に導入企業事業者の状況を見ると、後払いの比率がかなり上がり、後払いを導入して売り上げも伸びたという声も少なくない」

 今後の取り組みの方向性は。

 「『NP後払い』を伸ばしながら、BtoBの『FREX B2B後払い決済サービス』を次の柱に育成していく。BtoBの後払い決済は、事業として難しく、リスクも高いため、誰も手をつけられなかったが、逆に言えばそこにチャンスがある。現在、買い手企業数は延べ25万社を超えている。買い手の規模感としてはBtoCほど大きくなく、全てのデータを押さえる時間もそれほどかからない。今後、買い手企業データの蓄積が進めば、かなり強くなるはずだ」

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