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消費者庁・天下り〝新事実〟(下) 民進党、国会で追求へ ついに消費者庁に飛び火

2017年 2月15日 12:25

 手元にジャパンライフの会社案内がある。山口隆祥会長とともに、顧問の一人として名を連ねているのが水庫(みずくら)孝夫氏。かつて消費者庁の取引対策課で特定商取引法の執行を担っていた人物だ。消費者庁はこの会社案内の存在を伝えた今も天下り問題の詳細に口を閉ざす。だが、文科省から始まった天下り問題は消費者庁にも飛び火しつつある。

国会質疑「ジャパンライフ」登場 

 「(15年には)当時の課長補佐がジャパンライフに天下りした。小さな省庁であるにも関わらずこれまで2件。過去には長官自らも、もろに違法な天下りをした」。2月7日の衆院予算委員会の集中審議では、民進党の井坂信彦議員がジャパンライフの実名を挙げ、この問題を追及した。役所と企業の癒着構造を問題視。「取締りの見逃しにつながり、国民からの信頼もゆらぐ」と、刑事罰強化を求めた。

 白日のもとに晒された消費者庁による天下り問題。「一般論として問題だが国会で追及の動きはなくおおやけに対応できない」(日本維新の会・吉田豊史議員)、「政官業癒着の典型。消費者庁は国民に見える対応が問われる」(日本共産党・梅村さえこ議員)。問題意識を持ちつつ野党各党が静観する中、名乗りをあげたのが民進党だ。ということなので、本人にもコメントを求めてみた。

「規制の公平性が保てない」

 「文科省でも補助金を巡り省庁と受け入れ側の癒着が問題になった。受け入れないとひどい目にあう」(井坂議員)。消費者庁も水庫氏がジャパンライフには行政指導(当時)で対処した一方、「顧問にどう?」との要求に応じていない企業には行政処分を下している。天下り要求との因果関係は不明だが「(その後の行政処分も)ジャパンライフが該当事業を手じまいして儲けた後のタイミング。これでは規制の公平性が保てない」(同)と指摘する。

 水庫氏による天下り要求と同タイミングで処分を受けた企業からも「うちに要求はないが執行権限を振りかざしてひどい」といった声が上がっていた。

「他省庁より利益相反強い」

 衆院の消費者問題特別委に所属する大西健介議員も「ほかの役所との違いは"消費者の側"に立つ省庁であること。にもかかわらず業界側に天下るのは他省庁より利益相反の意味合いが強い」「消費者庁は歴史が浅い。新しい制度や規制に乗っかり天下り先を開拓している感がある」とその悪質性を指摘する。

 大西議員は、党の筆頭政調副会長として複数の政調副会長をまとめる要職にある。「(国会の)各委員会で情報収集しているところ。消費者庁の問題もやりたい」と追及の構えを見せている。

根が深い消費者庁の天下り問題

 ジャパンライフの会社案内は、商品カタログとともに店舗で配られていた。顧問には元通商産業大臣秘書や元内閣府大臣官房長も名を連ねる。これら顧問の存在は消費者から信用を得る権威づけになっていただろう。「本来、消費者の立場に立って執行しなければならない消費者庁が高齢者の高額契約に手を貸した」(元行政職員)と言われても仕方がない。
 
 懸念は政府による全府省庁を対象にした天下り調査だ。「政府は省庁単位で調査するが、(経産出身の水庫氏は)消費者庁出向時代に要求し、戻った後天下りした。省庁単位では天下り実態が浮上しない」(井坂議員)と消費者庁の特性に絡む問題を指摘する。他省庁からの寄合所帯で構成する点を隠れ蓑に要求されていた可能性もあり、問題の根は深い。

 民進党はマルチと妙な縁がある。旧民主党時代の08年、前田雄吉元議員によるマルチ擁護・献金報道で党勢の後退を余儀なくされたことだ。前田氏は今も永田町周辺で目撃されており、「今も政治活動をされている」(民進党議員)という。本紙掲載までにコメントは得られなかったが、マルチでこうむった汚点を徹底追及ですすげるか注目される。(おわり)

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