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機能性表示食品制度 制度改善〝緩和〟と〝強化〟で対応へ

2017年 6月 1日 10:20

 政府の規制改革会議は5月23日、機能性表示食品制度の改善を含む答申を安倍晋三首相に提出した。内容は、軽症者データの利用範囲拡大などを求めるもの。政府はこれをベースに6月、「規制改革実施計画」を閣議決定する。一方、同日の消費者委員会は、「消費者基本計画工程表」(改正素案)に健康食品の規制強化の具体策を盛り込むことを求めた。

「軽症者データ」利用の可否検討

 消費者庁は、今年度中に企業の要望が強い「軽症者データ」の取扱い範囲拡大の検討を進める。現在、制度における「軽症者データ」の活用はコレテロールや中性脂肪などトクホの試験方法に記載された範囲内にとどまる。使えるデータが少ないため、企業が有用な試験データを科学的根拠に活用できないといった指摘がある。今後、「アレルギー」や「尿酸値」「認知機能」などの分野でもデータが利用できるか検討を開始。来年度に調査事業を行い、これを踏まえて同年度内に結論を出す。

 試験データの活用を巡っては、18~19歳を含む試験データについて"妥当性が適切に考察されている場合"使えることも周知。また、サプリメントを除く加工食品や生鮮食品で利用可能な「観察研究データ」で可能な機能性の表現の考え方も今年度内に作成するQ&Aで示す。

 届出手続きのさらなる迅速化も図る。消費者庁は9月末をめどに不備指摘事項の差戻しにかかる「所要日数」の改善目標を設定。これを実現するための工程表を策定する。

 迅速化は、「届出書類の簡素化」と「業界団体との連携」で進める。業界団体から質問や相談を受けつける窓口を設置する一方、今年度中に業界団体が点検した書類について確認作業を迅速に進める仕組みを構築。来年度から運用を始める。団体が点検した届出商品は、外部からも分かるよう"見える化"の方策も検討する。

消費者委、健増法改正も求める

 一方、「消費者基本計画工程表」(15~19年度)に対しては、消費者委員会がトクホ、機能性表示食品、健食の規制強化を求めている。基本計画は着実な実施が求められているもの。年1回、消費者委の意見を受けて改定している。

 消費者委は、健食を含む食品に対し、健康増進法でこれまで以上の監視・指導を行うための方策の記載を求めている。消費者庁は昨年、健食のネット広告監視事業のみで336事業者を指導している。だが、現行以上に迅速な監視が行えない場合、健増法への「不実証広告規制」の導入など規制強化に向けた法改正の検討を行うことを求めた。

 トクホの買上調査や指導の件数の実績を具体的に記載することや、保健機能食品で問題がある商品が見つかった場合の対応ルールを明確にすることも求めている。

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