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クラウンジュエルの宮澤高浩社長に聞く 「ゾゾユーズド」急成長の背景は㊤

2017年 7月20日 11:02

 5-1-2.jpgスタートトゥデイ100%子会社のクラウンジュエルは、ファッション通販サイト「ゾゾタウン」内で展開するブランド古着専門店「ゾゾユーズド」が高成長を続けている。足もとでは、ユーザーがゾゾで新品を購入する際に古着の下取りを申し込むことで新品アイテムが割引となる「買い替え割」が仕入れ全体の約4割を占めるなど、調達面で貢献している。同社の宮澤高浩社長(=写真)に、事業環境や急成長の背景などについて聞いた。


──不用になったファッション商材を買い取ったり、販売するサービスが増えている。

 「フリマアプリの定着で古着の売買が大衆化してきているのは感じるし、新規参入もあるが、それぞれのサービスによってニーズの発生のさせ方が異なっている。当社のように古着を丸ごと買い取るサービスは"お片付け需要"に強い。片付けは誰もが喜んで行うものではないし、重たい思いをしてまで店舗に古着を持って行っても残念な値段を提示されることは少なくないが、『ゾゾユーズド』は自宅にいながら簡単に不用になった服を片付けられる

──他社サービスは。

 「フリマアプリは、どちらかというと不用な物がお金になるサービスで、しかも、けっこうカジュアルな商品まで手軽に売れるメリットがある。ブラケット創業者の光本さんが始めたサービス『キャッシュ』の場合はすぐにお金が欲しい人向けのサービスというように、同じ土俵にいるように見えて異なるサービスだ

──古着を買う消費者の視点ではどうか。

 「買う側からすると、『ゾゾユーズド』で買うのも『メルカリ』さんで買うのも楽天さんや店頭で買うのもそんなに差を感じないため、売り場としての勝負はし烈になるが、各社が切磋琢磨してサービス水準も上がればもっと便利になり、古着市場の拡大につながる

──どこまでが競合になるのか。

 「消費者が古着を買うことに抵抗がなくなると、価格帯が近いファストファッションと古着のどちらを選ぶかということになる。そのため、古着であってもしっかり価値を伝えたり、トレンドを押さえた服が入りやすい場づくりが大事になる

──「ゾゾタウン」の平均商品単価が下がっているが、古着のお得感は失われていないのか。

 「お客様は『ゾゾタウン』だけで買い物をしているわけではなく、ファストファッションも含めて世の中のブランドの価格帯をちゃんと分かっている。世の中のファッション商材と比べて『ゾゾユーズド』の価格や品ぞろえに価値を感じてもらえるかが重要だ

──前期の売上高は前年比61・8%増の128億円強となった。

 「リユースバッグを開発した15年以降、買い取りが非常に増えていることが増収の一番の理由だ。古着を買い取る際のキットを従来の段ボールからポストに入るサイズのバッグにした。利用者が家を空けていても受け取ることができ、梱包用のテープも使わずに服を詰めて送るだけという簡単なステップにした。前々期は、調達力を高めることに重点を置いて商品を集めるだけ集めたが、商品選定が不十分だった。前期は、買い取りの基準をどこに置くかに神経を使った。当たり前のことだが、お客様が欲しいと思う商品を買い取って、適正な値段を付けて販売するということを地道に続けた。商品力が高まれば、売り上げも伸びる

──ユーズドで売れる商品の特徴は。

 「基本的に、売れる商品は新品を扱う一次流通とほとんど変わらない。一次流通で売れたアイテムは二次流通でも売れるし、一次流通で売れなかった商品は二次流通でも売れない。当社としては売れる商品を仕入れ、それがいくらで、何日以内に売れたかということを突き詰めていくことが大事で、昨年はこのサイクルがうまく回った

──前期は利益面も大きく改善した。

 「前々期は経常損失、当期純損失ともに1億円強を計上したが、前期は経常利益が11億円強、当期純利益が7億円強となった。買い取りがものすごく伸びた前々期は、社内のスタッフだけでは間に合わず、一部で外部企業を使ったものの負荷がかかり過ぎて業務効率が悪化した。そのため、ユーザーからの買い取りを制限しながら、オペレーションを組み立て直した。前期はオペレーションの改善と、売れる商品を利益が出る水準で買い取ることに専念したことが利益に大きく貢献した」 (つづく)
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