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【だいにち堂VS消費者庁】 「不実証」適用は妥当か、個別表現の"優良性"争点に

2018年11月15日 13:30

6-1.jpg 健康食品の表示規制の今後を占う裁判が始まった(本紙1674号既報)。10月31日、東京地裁では、だいにち堂が消費者庁を相手取り、行政処分の取り消しを求める訴訟の第1回公判が開かれた。争点の一つとして注目されるのは、「不実証広告規制」の適用要件。だいにち堂は、その手続きに問題があるという法運用の本質論から消費者庁の瑕疵を指摘する。

 「完全にフリーハンド(消費者庁側の自由裁量)で良いということなのか。(「不実証―」の適用要件である)"必要があると認める時"というのは具体的にどういう場面なのか」。第1回公判、互いの主張が出そろった書面を見た裁判長の言葉に、一瞬、潜考したのは消費者庁サイドだった。

 裁判長が注目したのは「不実証―」(合理的根拠の要求権限に基づく規制)の適用要件。質問は、原告サイドの主張を受けたものだ。

 その適用は、景表法条文に「表示が『優良誤認』に該当するか否かを判断するために必要があると認める時」とある。

 一方、その運用指針を示すガイドラインには「表示された効果について、消費者が著しい優良性を認識しないと考えられるものは『優良誤認』にあたるおそれがないと考えられるため、裏付けとなる合理的根拠の資料を求める対象とはならない」とも触れられている。要は、「著しい優良性」を示していない広告には使えないということだ。

 例示として挙げられるのは、「神秘的内容(開運、金運等)」、「主観的内容(気分爽快等)」、「抽象的内容(健康になる等)」(ガイドラインより)。こうした表示のみの場合、消費者に「著しい優良性」は認識されないとしている。

 だいにち堂は、この指針を論拠に「ボンヤリ・にごった感じ」「クリアでスッキリ」といった表示は著しい優良性を示す表現ではなく、"そもそも『不実証―』を適用する要件を満たしていない"と指摘する。「ボンヤリ」「スッキリ」といった表現は主観的・抽象的な表現で、感情や印象を表示したに過ぎず、通常の広告が持つ顧客誘引力を超える効果を表現するものではないとするためだ。この指摘が冒頭の裁判長の質問につながる。

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 一方、消費者庁は、こうした原告の主張が「失当」だと主張。裁判長の質問に「『優良誤認』に該当しうる表示であれば(適用できる)」などと答える。

 だいにち堂の広告は適用を判断する「著しい優良性」を備えているとも指摘する。

 例えば「ぼんやり」といった表現。通常の意味合いは「ものの形や色がぼやけてはっきりしないようす」であり、「タワーがぼんやりと見える」といった用例があるように「一般的に目の見え方が不良である状態を意味しうるもの」と指摘する。同様に、「にごり」「クリア」「すっきり」といった個別の表現の意味を挙げ、目の健康状態を表現する際に使われる用例もあるとする。このことからこれら表現が「著しい優良性」、すくなくとも優良性を備えたものであり、「『優良誤認』に該当するか否かを判断するために必要があると認める時」という適用要件を満たすとする。

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 過去に、同様の問題が争点になったことがある。15年、景表法で処分を受けた翠光トップラインが、処分取り消しを求め提訴した際の判例だ。

 当時、翠光トップラインは、「弁明の機会」の手続きを問題視。付与にあたり、根拠と認めない理由が明らかでないため、「弁明ができない」と手続きの違法性を主張した。判決で同社の主張は退けられている。

 ただ、だいにち堂が主張するのはこれと異なる。「弁明の機会」より以前、調査段階で「不実証―」による根拠要求を行う際の手続きの違法性を突いているためだ。

 「ぼんやり」「にごり」など個々の表現をあげて「目の健康について優良性を示す表現」と指摘する消費者庁サイドの主張は、"言葉狩り"といえるもの。判決は、健食の表示規制に大きな影響を与えることになる。第1回公判では、ほかに裁判長がだいにち堂が提出した根拠資料の妥当性を争点にあげた。


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