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出版社の通販戦略④ インフォレスト "世界観"でキャバ嬢に訴求

2010年 7月18日 22:59

 4-2.jpgキラキラしたデコレーションが醸し出す独特のビジュアルで、店頭に並ぶファッション誌の中で異彩を放っているのがインフォレストのギャル系ファッション誌「小悪魔ageha(アゲハ)」だ。「読者の30%はキャバクラ嬢」という同誌の通販は、同社の通販事業の柱。前期売り上げは5億円と、通販事業全体の約半分を占めている。現在は媒体の認知度が向上し、「キャバ嬢」以外にも、高校生から30代まで読者層を拡大しつつある。ただ、今期は競合他社の急増やメーカーの低単価傾向の影響で苦戦。売り上げは減収の約4億円を見込むなど、ここにきて若干伸び悩んでいる状況だ。独自商品の開発など"次の一手"を模索し、局面の打開を図る。


 「小悪魔ageha」で通販を開始したのは2007年11月。「雑誌の購読者をウェブに転換して事業を興せないかと」(Web事業開発部・近藤貴久統括マネージャー)考えたのがきっかけだ。
 
 通販は誌面で商品を紹介し、URLやQRコードからPCサイトやモバイルに誘導する形。利用者のほとんどが若者層であることや雑誌との親和性の高さなどにより、受注の約8割がモバイルだ。そのため、PCサイトで購入率やクリック数などのデータを取得し、モバイルサイトで人気商品を前面に出すなどが基本的な戦略になっている。

 「ageha」では毎月8ページで通販を展開する。1ページあたりの商品の掲載数は最大20点程度。在庫リスクを考慮してメーカーへ委託する形が基本で、サンプル作成、誌面の撮影を経て、適切な量を発注して自社の倉庫に在庫する。
 
 同誌では一貫した「agehaの世界観」(同)を出すため、「age嬢」と呼ばれる専属モデルに編集長が直接コーディネートする。この「agehaの世界観」が通販でも強みのひとつ。世界観を表す商品群が独特であるため、"モデルのファッションを真似したい読者"に「ここでしか買えない商品」を独占的に提供できるからだ。
 
 ただ、開始時は独占状態だった同ジャンルだが、同誌の成功を見て、最近では競争が激化。楽天市場などに店舗を構え安く販売するネット販売事業者が急増したほか、メーカーが直接販売するケースも増えており機会損失を生むなど売り上げに影響が出始めたという。
 
 こうした背景や低年齢の読者が増加している傾向もあり、同誌では商品構成の変化を着々と進めている。比較的高価でユーザーを限定するドレスから、幅広い層に好まれるワンピースやルームウェアの扱いを拡大。商品の平均単価は1万円弱から7000円程度まで低下するなど、商品構成は「2年半前とはだいぶ変わった」(同)。
 
 また、「ageha8月号」では「激安」特集を実施。3000円以下で購入できるアイテムを揃え、売れ筋のワンピースを多く掲載した。初めての試みだったが、売り上げは好調だったという。
 
 今後は独自商品の開発も検討する。これまではコストをかけない方針により行わなかったが、通販強化の一環として他ブランドとのコラボ企画による独自商品も視野に入れていく。商品力を強化することで、新たなユーザーの開拓や購入率の向上などにつなげていく。
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