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秋冬商戦の出だしは――猛暑の影響懸念

2010年 8月19日 11:58


2men.jpg 天候不順で各社が苦戦した夏商戦が終わり、まもなく本格的な秋冬商戦を迎える時期になった。ただし、天候不順は相変わらずで連日、異常な「猛暑」が全国的に続くなど、夏商戦と同様に、また、天候不順が秋冬商品の売れ行きに悪影響を与えそうな気配もある。そんな中、スタートを切った秋冬商戦だが、出だしはどうなのだろうか。大手通販企業を中心に主な通販企業の秋冬商戦のスタート時点での状況や方向性、売れ筋商品などについて見てみる。

 秋冬商戦の出だしだが、やはり連日の猛暑の影響で、「いまだ夏物に動きがあり、秋物へ消費がまわらない状況」(千趣会)。無論、猛暑で夏物が売れること自体は良いが、長く猛暑が続けば、秋冬商品に深刻なダメージを与えかねない。「受注時期がよりジャストシーズン化してきており、9月の気温は(秋冬商戦に)かなり影響すると思う」(セシール)、「猛暑で『秋シーズン』が飛んでしまわないが懸念」(日本生活協同組合連合会)という声も。

 そんな中、消費を喚起しようと各社は様々な試みを始めている。面白い事例としてはスクロールが雑貨カタログ「生活雑貨」を「ランキングBOOK」として1冊丸ごと「ランキング」という切り口で展開。「購買モチベーションが低い時期と認識し、売れ筋商品の拡販に徹底的に注力する」ための構成だという。同カタログ内の「バイヤーイチオシランキング」で使用感を意識して訴求している「伸縮パソコンデスクD」などに特に期待しているようだ。

 また、ディノスでは「ディノスリビング」でテレビ通販との連動企画を巻頭で実施。冬のマストアイテム(ヒーター、羽毛布団など)を早割り10%OFFで販売するなどの試みを実施している。

 それでは秋冬商戦のスタート段階ではどういう傾向が見られるのか。ジャストシーズン化を進め、各社とも秋号、秋冬号を発刊するタイミングが以前に比べて遅く、「現状ではまだわからない」(スクロール)という企業が多いようだ。

 7月下旬にカタログを発刊してすでに秋冬商戦のスタートを切ったディノスでは「リビング系はほぼ前年並みのスタート。美容健康系はやや苦戦、特に高単価商材の動きが鈍く、単価が下がる傾向がみられる」という。ファッションはカタログ別では「ダーマ」「ルール」は好調。「カーラ」は前年並みで推移している。

 具体的に売れ行きの良い商品は掃除機「エルゴラピード」(写真)。スタイリッシュなデザインと機能性でもともとディノスでは人気商品だが、新機能をプラスしてバージョンアップ。また、カタログの表4での展開で売り上げが伸びているようだ。このほか、猛暑の影響からか「遮熱カーテン」に動きがあるようだ。また、家具・インテリアでは「壁面収納シリーズ」が全般的に好調な滑り出し。夏号からプライスダウンした「マガレコシリーズ」もまずまず、としている。

 婦人靴「リゲッタアンクルパンプス」もコンフォートながら幅広く履きこなせるデザインがうけてヒット中。このほか、テレビ通販でも好調な運動器具「エアリーシェイプ」も今秋号のカタログ巻頭でのTV企画効果もあり昨年を上回って推移しているようだ。

 千趣会では猛暑を理由に秋冬商戦の出だしは「衣料品ではブラウスやカットソーなどの薄物の売れ行きが良い。またショートブーツも好調」だという。また、冬本番からは裏フリースパンツや蓄熱、発熱カットソーなどの防寒機能アイテムを拡充する予定としているが「モニター調査段階ではこれらのアイテムは好調」として、一定の手ごたえを感じている。インテリア関連は猛暑で「秋物へ消費が回らない状況」。だが具体的な商品は明らかにしていないが「目新しいモノについては好調な滑り出し」としている。

秋冬商戦の予想は?

 ディノスでは今秋冬商戦について「リビング系は、ほぼ前年並みないしは微増と予測。美容健康系は低単価傾向の動きが気になるところ。ファッションも、媒体ごとに多少のバラつきはあるが、全体では前年を上回る予想。全体として、少しずつですが、消費が戻りつつある傾向を感じる」と回答している。スタートを切ったばかりの秋冬商戦。今後、どうなるのか。各社の奮戦が期待される。

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