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不急のプラン 公邸懇親会の波紋①

2021年 2月 4日 13:00

案内状から透ける力学

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く。政府は1月7日に2度目の緊急事態宣言を発令し、飲食店の営業時短や不要不急の外出自粛などを求めている。こうした中、1月13日に日本健康・栄養食品協会(=日健栄協)などが国会議員やごく一部の大手会員だけを集めた勉強会兼懇親会を計画していた。1月5日以降に延期を判断したが、一般会員に向けた賀詞交歓会はコロナを理由に中止しており、秘密裏な企画のプロセスやタイミングを巡り、疑問の声があがる。非常時の振る舞いからは協会と幹部の思惑と実態も垣間見える。

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 本紙が入手した日健栄協から特定の会員に配布された案内状の概要は表の通りだ。

 「特定保健用食品及び機能性表示食品勉強会及び懇親会」として、1月13日午後6時30分から参議院議長公邸で開催。出席者は国会議員、団体、企業の順で列記されている。こうした案内では所属や企業の序列は重要である。

 議員は日健栄協設立時から会長を勤める山東昭子参議院議長のほか、自由民主党の鴨下一郎衆議院議員など8人の国会議員が「出席者」とされている。山東議長は「健康食品機能性表示研究会会長」。鴨下議員は「同幹事長」という肩書きも付く。

 議員の顔ぶれは、会合の狙いを図る上で重要であり、項を改めて触れる。ポイントは、消費者庁の現役の担当大臣や経験者がいないことだ。消費者庁が所管する、トクホや機能性表示食品の勉強会を看板に掲げておきながら不可解であろう。

 団体側の出席者は日健栄協の矢島鉄也理事長と常務理事、昨年発足した特定保健用食品公正取引協議会の下田智久会長の3人。下田会長は日健栄協の前理事長で顧問も務め、公取協の設立は下田氏が主導し、事務局も日健栄協のビル内にある。実質的に日健栄協がセットした会合と言えよう。

 機能性表示食品について、創設時から業界代表として、消費者庁の検討会等に委員を派遣していた健康食品産業協議会は、この企画を「取材で初めて知った。まったく情報がない」と話す。同じく日本通信販売協会も「通販新聞の記事で知った。目的や内容が分からない」と困惑する。業界横断で機能性表示食品の公正取引協議会の設立に向けて、動いている最中のことでもあり、今後の信頼関係や協議にも影響しそうだ。

 出席企業の順番は協会との距離と力学を示す。記載トップは大正製薬。次席が日本水産。ヤクルト本社、サントリー、明治、花王と続く。このほか、関連事業者6~7社とされている。

 日健栄協の役員名簿によれば副理事長は日本水産。業務執行理事はヤクルト本社だ。さらに特保公取協の副会長は、サントリー食品インターナショナル。食品会社の並びは、これに符合しており、両団体での役割に準じたものといえよう。

 しかし、今回の案内では大衆薬メーカー大手の大正製薬が筆頭になっている。会の趣旨が食品の表示制度の勉強会兼懇親会という点を鑑みれば違和感があろう。

 日健栄協は昨年秋に重要なポジションである栄養食品部長に大正製薬の幹部級の社員を出向で受入れている。同氏は、日本OTC医薬品協会でも活動。消費者庁で機能性表示食品の成分拡大の検討会が行われた際は、OTC協会を代表して、拡大への反対、慎重論を唱えた上原明委員(大正製薬会長)の随行として活動していた。「薬と食品では利害損得が異なり、時に衝突する。協会に製薬企業がいれば、情報が筒抜けになり、食品業界の戦略さえも左右される。日健栄協は一体、どこを向いているのか」(業界大手)という指摘もある。

 議員とごく一部の会員で会を企画したことには「上級会員と一般会員ということであろう。協会の体質が現れたのでは」(会員企業)と諦めのような声もあがる。コロナ禍で露わになった政治を巻き込んだ不透明な動きの波紋は小さくない。(つづく)

 
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