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有力ECに聞く「コロナ禍の1年」、在宅時間の増加に対応した施策も

2021年 2月25日 13:00

 日本国内において、新型コロナウイルス感染症が拡大し始めてからおよそ1年が経過した。外出自粛による”巣ごもり需要”や”新しい生活様式”の浸透により、ネット販売の利用が急拡大。新たな顧客層が流入したこともあり、ニーズの多様化が進んでいる。こうした中で有力ネット販売企業はどのようにコロナ禍へ対応したのか。MOA、山善、おいもや、九南サービス、ジェネレーションパスの2020年における取り組みを紹介する。
 







白物家電が好調

 家電ネット販売のMOAが運営する「A―PRICE楽天市場店」は、仮想モール「楽天市場」の優秀店舗を表彰する「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2020」において、3位に入賞した。大西剛取締役営業本部長は「コロナ禍もあり、ネット販売にデビューした人が多かったのではないか。こうした人たちからの問い合わせも目立ったので、ファンになってもらうための取り組みを実施した。前年実績を上回り、顧客からのレビューをたくさんもらえた点が受賞につながったのではないか」と喜ぶ。

 コロナ禍を受けて3月以降、注文件数が増加。売り上げも前年同月比で2桁成長を続けたという。これに対応するために、人的なリソースを増やしながら、会社全体でスキルアップのための勉強会なども開催。感染対策に気を配りながら、取引先から派遣された担当者のもとで、実物を見ながらの商品勉強会や、顧客対応の勉強会なども開いたという。

 商品としては、白物家電が好調に推移。特に、在宅時間が増えたこともあり、空気清浄機や調理家電が売れた。また、テレワーク需要としては、情報家電が伸びたほか、デスクやチェアーといった家電も好調だった。

 売れ筋などの顧客の動向は、随時同社のバイヤーチームに提供。仕入れだけではなく、販促や広告にも活かしたという。

 同社では、プライベートブランド(PB)シリーズとして「マクスゼン」を展開。生産は中国のため、昨春はコンテナを使った輸送ができなくなった。

 こうした事態を見越して、2月の段階で例年の約3倍を発注し、多めに商品を確保したことが功を奏した。同社のPB商品は一人暮らし向け家電も多いため、3~4月の新生活商戦が重要になってくるが、「事前に対策したことで弾切れを起こすことがなかった」(大西取締役)。

 PBでは、小型冷凍庫がヒット商品に。「以前から展開していたが、在宅を余儀なくされたことで、冷凍食品を買い溜めて保管するという需要に合致したようだ。予想だしない注文件数となって驚いた」(同)。今年2月には、水道工事不要の食器洗い乾燥機を発売するなど、新たな需要を見越した商品開発も行っている。

売れ筋日々変化

 「くらしのeショップ」を運営する山善では、昨年4月の緊急事態宣言発令以降、国や自治体の動きにあわせて、消費者の求める商材が日々変わったという。「例えば小池百合子都知事が手作りマスクを着用するようになったら、ミシンが売れだしたし、政府がテレワークの活用を要望したら、折りたたみデスクや折りたたみチェアーが売れるようになり、全国一斉休校が発表された際には、トランポリンなどが目立って売れた。こうした消費者の需要に対応し、取り込むことができた」(家庭機器事業部eビジネス2部の尾崎友章部長)。多くの実店舗が休業だったこともあり、需要を取り込む形で1日数百件の注文があったという。

 ミシンに関しては「6月頃まで生産ラインがいっぱいになっている」(家庭機器事業部通販ゼネラルマネージャーの種山栄介氏)という人気ぶりだ。デスクに関しては、当初は簡易デスクが売れていたが、最近は高額な電動昇降デスクが売れだしており、こうした顧客のし好変化にあわせた商品開発を進めていく。

 急な注文増もあり、品切れを起こす商品もあったが、同社は中国に現地法人を構えていることもあり、比較的早く在庫が補充できるなど、サプライチェーンは競合他社よりもスムーズだったようだ。

 顧客の消費動向に関しては、在宅時間を充実させるための商品が動いた。おしゃれな収納や調理家電、「おうちキャンプ」のためのグッズ、さらには物置なども売れたという。

 昨年は直販のネット販売だけではなく、テレビショッピングやカタログ通販企業への卸も伸びた。ホームセンターへの卸は近年苦戦していたが、日用品が売れたことから好調に推移。家電量販店への卸に関しては、都市部は苦戦したものの、地方は堅調だった。「家庭機器事業部としては全部門が過去最高に良かった年だった」(種山氏)。

 今年の緊急事態宣言に関しては、マスクはすでに出回っていることから需要が落ち着いているものの、テレワーク関連商品は引き続き好調に推移している。

医療現場へ寄付

 スイーツの販売を手がける、おいもやは、毎年恒例のイベント「芋フェス」を11月4日にオンラインで開催した。当初は例年通りリアルイベントとして開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、ウェブに切り替えた。参加者にゲームを楽しんでもらったり、フェス限定商品を販売したりといった内容で、フェスでの販売商品の売り上げの5%をコロナ禍で医療現場の最前線で活躍する医療従事者への寄付も行った。

 関谷夕佳社長は「オンライでのフェス開催は初めての試みで、よい経験となった」と語り、オンラインながらも盛り上がったイベントになったことを評価。医療従事者への寄付については、昨年から始動した「おいもやOMOIYARI(思いやり)プロジェクト」の一環として行ったもので、「芋フェス」の開催自体が地域社会への貢献や還元を目的にしており、その趣旨に沿う内容のものとなったようだ。

 寄付は「公益財団法人日本財団新型コロナウイルス感染拡大に伴う支援」へ行い、寄付額は23万3694円となった。

 コロナ禍での昨年の事業展開では、巣ごもり需要から販売点数が増える一方、「数字が読みづらい側面もあった」(関谷社長)という。スイーツのため時季による売れ筋に違いが発生するが、受注の次のピークがいつ来るかなどがコロナ禍にあって例年以上にその見定めが難しかったとしている。それでも売り上げを着実に伸ばしたようだ。

顧客対応を強化

 自然食品や健康食品のECサイト「タマチャンショップ」を運営する九南サービスは、コロナ禍において顧客の健康により向き合う取り組みを強化した。昨年4月の緊急事態宣言発令後に、1万人の購入顧客に対してビタミン類などの健康食品を同梱して提供。健康に不安を抱く顧客が少なくないと見て、”お守り”ではないが、少しでも顧客の側に立った企業でありたいと考えて行った。

 昨年の新型コロナウイルス感染症の拡大は「会社の存在意義を考える機会となった。健康への不安を抱く顧客も多くいる」(田中耕太郎副社長)。顧客の支持を得ることが成長につながるとの考えから、コロナ禍にある顧客への気遣いとして無償で健康食品を送った。

 同時に良い商品・サービスを提供するのは当然のこととして、社会的にも環境問題への関心が高まっており、環境を意識した企業活動なども進めた。プラスチックを廃したパッケージやの採用など環境負荷の削減に取り組み始めている。こうした取り組みはお客様からも理解を得られるという。フードロスへの対策も一層求められと考え、商品の作る側と作る側の間に立って社会貢献をしていくという。

 今後、リモートワークなどで孤独を感じる顧客は少なくないと見る。「当社でお客様同士がコミュニケーションできるコミュニティーのような場を提供」(同)していくことも必要と見る。

メディアに効果

 ジェネレーションパスでは家具やインテリア関連の情報を発信しているメディアサイト「イエコレクション」について、昨年はPV数が一気に伸長。家で過ごす時間が増えたことで、ネットを閲覧する機会が増えたため、オウンドメディアからのEC送客効果が上がっているという。昨年には100万PVを達成するなど、広告事業もできるまでの規模に成長することができた。

 オウンドメディアに関しては数年前より販促目的でEC企業だけではなく、メーカーなども積極的に開設に乗り出している。「他社との差別化のポイントとしては、オウンドメディア(単体)だけでは難しい。やはり自社に商品があるので、マーケティングミックスを非常にやりやすいことがポイント」(岡本洋明社長)と説明。

 自社サイトで扱う商品紹介ページだけでは分からないところや、実際の使用感などを記事にすることを重視している。取引先のメーカーから収集した商品の詳細情報をはじめ、他サイトの商品も買って社内で商品を使いながら比較するなど、リアルな声を反映させている。

 「オウンドメディアは購買活動の1つで、いくつかを読んで参考にしている人が多いので、その質が大事になる」(同)という。書き手は社内外におり、プロのライターから主婦まで揃え、あえて違った目線を持たせている。

 また、ルールとして、自社で扱う商品を売るということではなく、良いものを書くことを目的とし、自社の商品の悪い面も正直に書いている。現在、同社では180万商品ほどの扱いがあるがその中だけでメディアを作るのではなくEC市場全体規模で捉えている。「自社商品だけ紹介するのではなく、アフィリエイトなので色々な商品を紹介して、そこから流通総額を増やすという捉え方」(同)と説明。

 メディアサイトで評判が良かった商品は自社での販売に取り入れていく流れもあり、商品数が増えれば、当然、購買機会も増えていくという。

 掲載する商品選びのポイントとしては、 最初に大まかな商品ジャンルは指定するが、商品名単体で特定するというわけではなく、基本的には書き手が書きたいものを書く形を採用。商品カテゴリー別だけではなく、「DIY」、「プレゼント」、「レトロ」、「動物グッズ」といったキーワド別での切り口にもなっている。

 そして最大の特徴が、「1つの記事に対していくらの対価」という歩合制を設けていないこと。ここに制約がかからないことから、仮に記事で取り上げた商品が売れなかったとしても書き手としては報酬が変わらないので、公序良俗をしっかり守れば自分で書きたいものが書ける仕組みになっている。「これに何か制限を設けるようになるとオウンドメディアの意味がなくなる」(同)と説明。

 もしも歩合制で記事を集めた場合、閲覧数稼ぎのために、いわゆる”売れ線”の流行商品ばかりを追った独自性のない記事で溢れかえる恐れが出てしまう。メディアとして個性が出せる環境に配慮しているとした。

 今後についてはメディアの種類を増やしていくことも視野に入れており、前期の倍の規模にすることを目指している。

 
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