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【パルの堀田覚執行役員に聞く コロナ禍の自社EC強化策】 初心者が使いやすいサイトに  レビューや動画も掲載

2021年 8月12日 07:10

 総合アパレル企業のパルは、2021年2月期のEC売上高が前年比34・7%増の237億円と大きく伸びた。そのうち自社通販サイト「パルクローゼット」の売上高は同78・5%増の74億円に拡大し、自社EC比率は初めて30%台に乗った。「コロナ禍でECに不慣れなお客様の声に向き合った」と語る堀田覚執行役員(顔写真)に、自社ECの強化策などについて聞いた。






 








 ――「パルクローゼット」を中心にECチャネルが好調だ。

 「当社は店舗スタッフを軸にしたウェブコンテンツを充実させることで、自社ECと店頭への送客力を高めてきた。コロナ禍で店舗が休業を余儀なくされた中でも、店舗スタッフが自発的に情報発信できたことが大きい」

 ――消費者のEC利用も進んだ。

 「コロナ禍で明らかにお客様の行動が変わった。それまでのECユーザーはECに慣れていて、ネットで服を買うことに抵抗がないお客様だった。それ以外のお客様は実店舗で確かめながら購入するという消費行動が習慣化していた。コロナ前から徐々にEC慣れしているお客様は増えていたが、コロナ禍で実店舗に行きづらくなり、ECを使わざるを得なくなった」

 「そこに購入までのハードルがあった。『パルクローゼット』はEC慣れしているお客様に向けたサイトになっていたが、普段は実店舗を利用しているお客様にとってはECでも安心して買いたいという思いが強い。コロナ禍でEC利用に関する問い合わせが増え、質問の内容も従来とは変わってきた」

 ――サイト設計の考え方も変わったのか。

 「そこからは派手な施策よりも、EC慣れしていないお客様の声に応えることを重視している。分かりやすく、安心して使えるサイトを目指して改善を繰り返している」

 ――具体的には。

 「例えば、それまでなかったユーザーレビューや、商品に対するスタッフの正直なコメントを商品ページに掲載した。商品の説明文は長々と書かずに、店頭での接客と同じように商品の特徴などを伝える1~2分の動画をつけることで各商品のポイントが分かるようにした。しっかり伝えるという部分を大事にしたことで購入率も上がってきている」

 ――長い商品説明文は読まれない。

 「ECしか選択肢がなくなったときに、お客様の知りたいことがはっきりと見えてきた。店頭で行っている熱のこもった生々しい接客がECには足りなかった。説明文だけでは買い物体験の大事な部分が抜け落ちてしまう。ファッションに正解はないので、売り手の熱量などに共感して購入して頂ける部分が間違いなくある」

 ――昨年10月以降のEC売上高が前年同月を50%程度上回るペースで成長している。

 「10月については、前年に消費税増税があった反動に加えて、10月1日~11日までパルグループの各店舗と『パルクローゼット』で同時に秋のショッピングフェア『パルクロウィーク』を初開催した。名称の通り、『パルクローゼット』を前面に打ち出した。今年4月に実施した春の『パルクロウィーク』ではパルとして初めてのテレビCMを関西限定で放映し、『パルクローゼット』の認知拡大につなげた」

 ――通販サイトの認知を狙ったCMが増えている。

 「『パルクローゼット』もある程度の売り上げ規模になったが今後も高成長を目指す上で、各ブランドの頑張りを足し算ではなく、掛け算になるようにするには『パルクローゼット』の認知を高めていくことが大事だ。パルグループは展開ブランドが50以上と幅広く、各ブランドを見てパルという会社や『パルクローゼット』を思い出してもらいにくい。そこの打ち出しを昨年から始めた」

 ――そのほかにECの好調要因は。

 「昨年9月下旬から雑貨ブランドの『スリーコインズ』と『アソコ』、アクセサリーブランド『ラティス』の3ブランドを自社ECで扱い始めたことも10月以降のECの高成長につながっている。一時期、コロナ禍で『スリーコインズ』の店舗もすべて休業したのを機に急ピッチでECの準備をした。『スリーコインズ』は店舗数が多く、お客様も多いだけに、EC売り上げに貢献している」

 ――EC利用が拡大する中でも店舗販売員の役割は増している。

 「店頭スタッフにもっと活躍してもらうためには会社の人事評価制度や、デジタル接客などの質を高めるために教育の仕組みも整えないといけない。現状の評価制度としては、SNSのフォロワー数に応じて手当てがつくのと、ECの貢献売り上げを可視化しているため、その貢献度を賞与に加算している」

 ――どのように可視化しているのか。

 「スタイリング写真を簡単に投稿できる業務用アプリ『スタッフスタート』を導入していて、スタッフが投稿したコーディネート写真を閲覧してからそのコーデに利用している商品を購入すると分かる仕組みになっている。SNSに投稿した写真にはパラメータを付けてサイト集客効果を計測するなど貢献度を把握している」

 「ただ、SNSへの投稿が上手なことだけが店舗スタッフの価値ではない。お客様とパルとの接点を作ったスタッフを正当に評価できるようにしたい。多面的に評価するためにも、なるべく判断材料になるデータをしっかりとっていきたい」


 ――自社EC強化に向けた投資は。

 「『パルクローゼット』では今年3月末に、サイトの画像をそのままの画質で軽量化できるツール『SmartJPEG(スマートジェイペグ)』を導入した。元々、画像の読み込みスピードが遅いことは課題だった。ちょうどECのサーバなどインフラ基盤の見直しを進めていたこともあり、画像軽量化ツールを導入することで、表示スピードの改善やデータ転送量の削減などを図った」

 ――EC利用者の増加も後押しした。

 「『スリーコインズ』をECで販売するようになってアクセス数が大幅に増え、サーバの移管も待ったなしの状況だった。また、コロナ禍でEC利用を始めたお客様の声を聞きながら商品詳細ページの改善を進める中で、商品画像の枚数をかなり増やした」

 「従来は各商品で展開するカラーバリエーションすべてに対しては着用画像を付けていなかったが、これを改め、展開カラーごとに着用画像を掲載した。画像のクオリティーも上げたことでサイトの読み込み速度が遅くなっていた」

 ――スマートジェイペグを選んだ理由は。

 「メインベンダーさんの推薦もあったし、コストも手ごろだった。4月からの『パルクロウィーク』開催に合わせて導入した」

 ――前期はEC売上高に占める自社EC比率が3割を超えた。

 「前期のECチャネルは自社ECを中心に成長した。今期もサイトの改善活動などに取り組むことで伸びしろは大きい。『テリトワール』や『プラスオトハ』といったECが軸のブランドやコンテンツを増やしていくことで今後数年間はもっと成長できる。自社ECで200億円くらいまでの道筋は見えている」

 ――今後の課題は。

 「データをとることに関してはもっと進めていきたい。実店舗もECもデータを見て次のアクションを決めていく必要がある。店舗はまだお客様が目の前にいるが、ECチャネルの場合は十分にデータ活用ができないと、どこかで成長がストップしてしまう」
 
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