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消費者庁のネット研究会 行政の情報開示を要望、ネット販売トラブル対策検証

2010年 9月30日 16:57

 消費者庁は9月14日、「インターネット消費者取引研究会」の第2回会合を開催した。前会合ではネット上のトラブル事例が広範に及ぶことから、研究会での争点が不透明になることが懸念されたが、今回は主にネット販売でのトラブル事例を中心に検証。楽天、ヤフーなどが取り組む消費者トラブル回避対策についてヒアリングを行った。

 楽天の関委員は、取引の健全化に向けて同社で独自のルール・ガイドラインを整備していることを説明。同社では対出店者向けには出店審査の実施やルール違反店の排除などを徹底。対消費者向けにはヘルプページや原則24時間以内に一時回答する問い合わせ窓口の設置、苦情の際の仲介、セーフティーネットとしての補償制度などを設けている。

 しかしその一方で、消費者保護が出店者の営業活動を過度に制限する恐れや、第三者による仲介には限界があることなどを課題に挙げた。

 これに対して他の委員からは「もっと消費者目線に立てるのでは。(商取引の)場を提供することへの整備が、まだ十分ではないと感じる」(長田委員)という厳しい意見が寄せられた。一方、これまで詳細に公表されることが少なかった事業者の取り組み内容が具体的に分かり、参考になったという意見もあった。

 また、ヤフーの別所委員は、民間で取り組む悪質事業者の対策には行政の後押しが必要とし、「事案分析や悪質事業者排除に向けた、積極的な行政の情報公開」を要望。これに対し消費者庁は「個人情報保護の問題もあるため、どのレベルまで情報を開示できるかが難しい」と、慎重な構えを見せた。

 一方、今回の会合では、2011年に予定されているSIMロック解除で、ビジネス環境が大きく変わるモバイルについて各委員の意見が集中した。

 これまではキャリアが一元的にトラブル管理の窓口となっていたが、SIMロック解除により、端末のトラブルはキャリア、コンテンツのトラブルはプロバイダーと、窓口が分かれる。これに伴い、消費者の混乱が起きることを懸念する声が出された。消費者庁の政策調整課は「世界的にはスタンダードなことだが、日本にとっては対応窓口が分かれることに慣れていない部分がある」と指摘。今後、総務省も含めて必要な対策を講じていく考えだ。

 次回の検討会は10月14日に開催される予定で、今回民間事業者が挙げたトラブル対策の取り組みに対して、行政側が提供する支援や執行内容などについての意見交換が行われる。

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